おととしの台風15号で壊滅的被害を受け一部運休が続く大井川鉄道 川根本町は今
おととし9月の台風15号で被害を受けた大井川鉄道。SLなどの運休が続いている川根本町の今を取材しました。
おととし9月県内を襲った台風15号。
大井川鉄道は壊滅的な被害を受けました。
金谷駅から千頭駅を走る大井川本線は台風の直後、全線で運行がストップ。
その年の12月から、少しずつ再開しますが、それでも、川根温泉笹間渡駅から千頭駅までの川根本町の区間は、
いまだ再開の見通しが立っていません。
うえまる
大井川本線終点の千頭駅。
現在、井川線のみが運行しています。
当たり前のように響いていたSLの汽笛は、今はもう聞こえてきません。
オーナー上田まり子さん:
「以前は本当にSLが着くとお客様がいっぱい来るので「あっSLが着いた」という感じがいっぱいありましたね。3割とか4割減ったのかもしれませんね観光客は」
千頭駅のすぐ近くにある「cafeうえまる」
大井川にあるダムをイメージした名物のダムカレーを目当てに静岡県外からも観光客が訪れます。
以前はSLが来ると、店内がいっぱいになることもありました。
オーナー上田まり子さん
「茶畑の中を走るSL、大井川の脇を走るSL、鉄橋を走るSLそういったのをまた皆さんに見ていただきたいという風景の面でも来てほしいという思いがあります」
観光への依存度が高い大井川鉄道。
台風が来る前からコロナ禍の影響で厳しい経営が続いていました。
大井川鉄道は2019年度から4年連続で赤字。
まずは現在運行している区間での黒字化を目標としていて全線再開はそのあとです。
山口会長
そんな中、住民たちが動き出します。
「大井川鉄道全線復旧を支援する会」を設立。
国などに支援を求めて署名活動を実施し、川根本町の人口の6倍にあたる3万5000人が署名しました。
山口捷彦会長
「(SLが着くと)どっと電車とは違ったお客さんが多く見えて、駅に行ったりお土産屋さんいったり。ここらの景色を見たり。一風変わった感じですごくにぎやかでしたね」
会長を務める山口捷彦さん。
ここ千頭で生まれ育ちました。
山口捷彦会長
「ここのまちはSLだ。汽車だと思っていましたから。
聞こえないというのは心の中でおばあさんたちもさみしいよ。汽笛だけは聞きたいよとよく話している」
掃除
支援する会は駅や線路の掃除もしています。
この日は現在走っている井川線の草木を伐採しました。
中原康夫副会長:
「前からここは気になっていた一つだったので。よかったです。やれて。早く復興してもらいたいんですけど、やれることやるしかないので」
全線再開の見通しは立っていませんが、住民たちは再開の日を心待ちにしています。
中原康夫副会長:
「もう1年経っちゃったんですけど、行政とか巻き込んでいけるのかみなさんと相談しながら、一歩一歩進めていくしかないと思います」