贈った枚数は6000枚以上 静岡・富士宮市の藤田さんが雑巾を贈り続けるワケ

 2024年12月10日。静岡県の富士宮市役所で、200枚の手縫いの雑巾が市に寄付されました。寄付したのは市内に住む藤田志め子さん(78)です。藤田さんは、これまでに6000枚を超える雑巾を市に寄付してきました。(取材・文=三浦徹)

 雑巾を縫い始めたのはおよそ27年前。自分の子どもが学校に持っていく雑巾を縫ったのが最初で、それが「近所の子どもの分も」とだんだん広がっていきました。その後、知人のすすめにより、富士宮市に寄付するようになった藤田さん。市を通して、市内すべての小中学校に100枚づつ雑巾を贈ったそうです。

●藤田志め子さん:
「若いころは一生懸命お仕事してきて、年を取って暇になるじゃないですか。なにかやりたいなって思っていましたが、雑巾が一番手っ取り早くて、みんなにもよろこんでもらえるかなと思って始めました。昔から手先を使う作業が得意でした」

 令和に入ってからは、寄付された雑巾は主に保育園や市の福祉施設で使用されるようになりました。縫った雑巾が250枚ほどになると、市役所に持っていき、令和に入ってからの6年間で、6350枚が市に寄付されました。

●藤田志め子さん:
「保育園で使われているのはうれしい。この間、保育園で私のつくった雑巾で、園児がゆかをふいている写真を送ってくれました。こういう風に使ってくれてるのはありがたい。やりがいがあります」

始めたのは27年前
始めたのは27年前

 藤田さんの家には園児からの感謝状が飾られていました。

 藤田さんは自分のお小遣いで、さまざまな色のタオルを買い、縫って雑巾にしていきます。1枚を完成させるのに5分もかからないということです。なぜお金をかけてまで雑巾を作るのでしょうか?

●藤田志め子さん:
「周りには『何でそんなことをするの? お金がもったいない』という人もいます。でも私はぼけてしまうことを考えれば、安いものだと思ってやっています。手先を使うことはボケ防止になるんです」

保育園からは感謝状が
保育園からは感謝状が

 2023年には、富士宮市の須藤秀忠市長から感謝状を贈られたという藤田さん。雑巾の寄付はいつまで続けるのでしょうか?

●藤田志め子さん
「目の見えるうちは続けてやりたいと思っています。80代半ばくらいまでかな? 90歳まではさすがに難しいかな?(笑)」

須藤市長からも感謝状
須藤市長からも感謝状