100億円の負担増に… 県民「絵に描いた餅」「費用抑えて」 関係者「川勝前知事の負の遺産」 /どうなる静岡 県立中央図書館(後)

新県立図書館は9階建てで、延べ床面積はおよそ2万平方メートルと現県立図書館の倍以上。蔵書可能数もおよそ200万冊と現在の2倍以上となり、公立の図書館としては国内最大級です。県産木材をふんだんに使う独創的な造りで、1階と2階には「交流の場」として、多目的ホールやカフェなどが併設されます。
川勝平太前知事:「旧来の図書館とイメージが違ってくるのではないか。あの辺(東静岡)は若者の街に変貌できればいいかなと希望している」
しかし、その後は、順調とは程遠い道のりを辿っていました。当初、192億円と試算していた事業費は、資材価格や人件費の高騰によって、100億円余り増加し、298億円まで膨らみます。県は総事業費298億円のうち、136億円を国の交付金で賄う計画でした。
県民は…「絵に描いた餅」「予算内で」
しかし4月、実際に交付されるのが34億円程度にとどまることが判明。財源が100億円余り不足し、県の負担が増えることは避けられない事態に…。
思いもよらぬ負担増に、県民は…
20代掛川市民「もう少し費用を抑えて建ってくれたらいいなって思います。大きいのが建つと聞いてるので、興味はあります」
静岡市民「予算内で見合った大きさの図書館に変更することも必要かなと思います。絵本を借りに行ったり、ちょっとした時間つぶしで利用してみたいとは思います」
静岡市民「あまり図書館には行かないので、違う施設に使ってほしい気持ちがあるなとは思います。計画性(のなさ)とかも、ちょっと考えちゃうなと思います」
60代静岡市民「いつも人のお金をあてにしてやってるのが許せない。市民の税金もそうだし、国から出る、くれる、出してくれるのを、絵に描いた餅の話をして、結局こけました、どうしましょうって言ったら、市民にまわってくるんだから。ふざけてるよね。そんなところにお金使うんじゃなくて、もっとやらなきゃいけないことがたくさんあるんじゃないの?」

鈴木知事は…
川勝前知事が作った計画を引き継ぐ形で、去年就任した鈴木知事。これまでに、計画の見直しも辞さない考えも示しています。
Q.県立中央図書館について見直し方針は?
A.「これは、今も再度の入札に向けた準備もしています。ただ、ここへ来てかなり建築の状況とか、社会的な状況も変わってきておりますので、必要があればもう一度見直すことも含めて、今後しっかり検討していきたい」
そして、19日、県議会の臨時会に出席した鈴木知事。
県立中央図書館建設計画に対する記者の問いかけに対して…。
Q.計画の見直しは必要だと思うか
「……」
Q.新たに議論する部分は?
「……」
具体的に回答することはありませんでした。今週、教育委員会の担当者は、県議らへの説明に追われていました。

なぜ100億円も減額に
およそ100億円減額されることとなった、交付金。なぜ、そこまで大きく減額されたのか。そもそも、136億円という交付金が渡される可能性はどの程度あったのでしょうか。
私たちの取材に、関係者の一人は見通しが甘かったことを認めました。
関係者「136億円も1つの県に渡せるわけがない。今回の件は完全に事務方の確認不足だ。教育委員会は(交付金を所管する)国交省に直接お願いに行っているが、川勝時代にリニアであれだけ揉めて、金額の話なんてできない。
川勝県政の負の遺産だよ」
県立中央図書館の建設計画を取り仕切る、県教育委員会・山下理事を直撃すると…
静岡県教育委員会 山下英作理事:「『(国交省は)他の自治体との公平性を考えると、静岡県だけかなり多くの金額を出すのは難しい』と…。(136億円という)金額の話はさせてもらっていました。申請をしていた交付金については、この図書館に充当できるということと、あとは上限額というのが特に設けられていないということもありましたので、我々とすると、予定していた136億という金額を充当していただける、というふうに見込んでいた。その額(136億円)がしっかりともらえるかどうかっていう、その結果といいますか、そういった通知が(国交省から)あったわけではないので、そこについて数字を押さえていなかったというところについては、確認不足っていうところが、あったのかもしれません」

自民「見直しも必要」
県議会最大会派の自民は…。
自民改革会議 相坂摂治前代表:「やはり県の財政問題が議論されている中でなので、今後、これによって県の負担が増えていくことになりますから、もう一度見直していくことも必要かなと思っています」
見直しを余儀なくされることとなった、県立中央図書館の移転・新築計画。今後の見通しについて、県教育委員会の山下理事は…。
静岡県教育委員会 山下英作理事:「財源不足が明らかになったんですけれども、さらに、財源の確保を目指しながら計画を進めるのかってこともあるかと思いますし、見直しをするということも含めて様々な選択肢が考えられると思いますので、そういったことを検討していくことになります」
