「あきれた。お粗末」…リニア開業後の新幹線増便調査について国交省を痛烈に批判 静岡・川勝知事


先週、国交省が発表したリニア新幹線開業後の東海道新幹線増便に関する調査結果について、川勝知事は23日のの会見で、「本来決定者でないものが決定できるかの如く言っている」などと国の姿勢を痛烈に批判しました。

川勝知事:
「今度の国交省の発表にはあきれました。内容はお粗末であるということであります。この計算は何年生ぐらいでできるでしょう。掛け算というのは。小学生でもできますか。単なる頭の体操。」

 23日の定例会見で川勝知事が「あきれた」と口にしたのは、先週金曜に国交省が発表した、リニア中央新幹線開業後の東海道新幹線増便に関する調査結果についてです。

斉藤鉄夫国交大臣 20日:
「リニア開業により東海道新幹線の輸送量が約3割減少する可能性があり、東海道新幹線の輸送力に余裕が生じる見込みです。この輸送力の余裕を活用して東海道新幹線の静岡県内の列車の停止回数が現状の1.5倍程度増加するとした場合、静岡県内における停車頻度が増加し新幹線と在来線の乗り継ぎがスムーズになるなど利便性の向上が期待される。」

 国交省は、リニア新幹線が品川から大阪まで全線開業した場合、東海道新幹線の静岡県内駅への停車回数がおよそ1.5倍になると予測し、静岡駅では現在1日53本の停車回数が、およそ80本に。

 浜松駅では49本が、74本ほどに、

 熱海駅や三島駅では現在24分に1本の停車を、15分に1本にすることができるとしています。

 さらに、県内では1日あたりの新幹線利用者数がおよそ2000人増えるとしていて、2037年にリニアが全線開業した場合、10年間で静岡県への経済波及効果が、1679億円にのぼると試算されました。

岸田総理が1月に調査結果の取りまとめを明言

岸田文雄総理大臣 1月4日:
「本年はリニア中央新幹線の全線開業に向け、大きな一歩を踏み出す年にしたい。リニア開業後の東海道新幹線における静岡県内の駅等の停車頻度の増加について、今年夏をめどに一定の取りまとめを行い、関係者に丁寧な説明を行っていきたい」

 今年1月、岸田総理はリニア開業後に静岡県内の駅に停車する東海道新幹線の便数をどれぐらい増加できるのかの調査を、今年の夏をめどに取りまとめると明言していました。

 ところが、取りまとめの目安となっていた夏を過ぎても、国から具体的な報告はありませんでした。

川勝知事 10日:
「これは国家的プロジェクトで、特に岸田総理が年頭の記者会見で夏までにそれなりのことを発表すると言ったが、もう10月です。」

 川勝知事が国に対し苦言を呈する中で、今回ようやく出された調査結果。

 しかし、調査結果を見た川勝知事は“穏やか”ではありませんでした・・・

岸田文雄総理大臣 1月4日

国交省は「いい仕事をした」と皮肉を

川勝知事:
「国交省の報告書に東海道新幹線、静岡県内における列車の停車回数が現状の約1.5倍程度増加するとした場合にどうなるか、と考えたと。どうして10月までかかったのかと。あまりにも簡単な仕事なので、したがって国交省はその仕事を忘れていたか、もしくは思い出して、何かこれに関連して1.5倍になったらこうなると、それをすごく大きな仮定をしたうえで、いろんな利便性が考えられると付け加えてあるが、全て1.5倍に停車回数が増えた場合にというだけのこと。これは何もそれをそうなると国が責任をもって言ったが、あくまで仮定なので実現できるか分からない」

 川勝知事は会見で、国交省が調査結果の発表までに要した期間や内容に苦言を呈しました。

川勝知事:
「ダイヤについて国がどうこう決めることができません。ダイヤについて具体的な県民を喜ばせることを言えないことはすぐにわかるはず。にもかかわらず、それが可能であるかのような発言を国交大臣、総理がして。初めから本来決定者でないものが、決定できるかの如く1.5倍増えるといったような、見出し躍るようなことになったというのは、国交省としては、いい仕事されたと。なんていい仕事をされてるんだろうというふうに思っております。」

 「いい仕事をした」と皮肉を口にした川勝知事。

 さらに・・・

川勝知事:
「のぞみの機能がリニアに置き換わると、ひかりとこだまの本数が増えるというのは始めから分かっていたこと。それが1.5倍になるかどうかは単なる頭の体操というか、本当にはっきり言って高級官僚のするような話かと思う。何の責任もないにも関わらず、言ってしまったのでこれについては、国交省・鉄道局はしっかりと言ったことについては責任を持ってくださいと言いたい。JR東海のダイヤ決定の際にこの数字を生かすように言わないとだめだと、単に仮定しただけですというような言い逃れをしてはだめですよと言いたい。」

川勝知事によりますと、今後、国交省の職員が直接知事を訪問し詳しい説明を行う予定だということです。

川勝知事