リニアが大阪まで開業すれば「静岡県内の新幹線の停車回数は1.5倍」 川勝知事「実現可能性をお聞きしたい」 

 国交省はリニア新幹線が大阪まで開業した場合、静岡県内では東海道新幹線の停車回数が1・5倍になり、10年間の経済効果が1679億円に上ると発表しました。
    

「もう秋なのに…」静岡・川勝知事がチクリと苦言

静岡・川勝平太知事(9月22日):「もう秋なんですね。暦の上では。ですから、夏までというのは、どうなっているんでしょうか」

 「もう秋」。9月の定例会見でこのように語っていた川勝知事ですが、いったい何のことかと言うと…。

静岡・川勝平太知事

岸田文雄総理大臣(1月4日):「本年はリニア中央新幹線の全線開業に向け、大きな一歩を踏み出す年にしたい。リニア開業後の東海道新幹線における静岡県内の駅等の停車頻度の増加について、今年夏をめどに一定の取りまとめを行い、関係者に丁寧な説明を行っていきたい」

岸田文雄総理大臣

 トンネルが貫通したり、駅の工事が進んだり。リニア中央新幹線をめぐっては、沿線各地で様々な動きが出てきています。一方で、同じ沿線県である静岡県内ではリニアをめぐる舞台が今も「工事現場」ではなく「会議室」となっています。

 こうしたことを背景に、岸田総理は今年1月、年頭会見で、リニア開業後に静岡県内の駅に停車する東海道新幹線の数をどのぐらい増やすことができるのかを今年の夏をめどに取りまとめることを明言していました。ところが、取りまとめの目安となっていた夏を過ぎても、国から具体的な報告はありませんでした。9月、「もう秋」だと苦言を呈していた川勝知事ですが、その秋も深まってきた中で今月は…

静岡・川勝知事(10日):「これは国家的プロジェクトで、特に岸田総理が年頭の記者会見で夏までにそれなりのことを発表すると言ったが、もう10月です」

 さらにこのまま時が過ぎ、「もう冬」になってしまうのか…。そんな懸念もよぎる中で20日午前、国交省がついに注目の調査結果を明らかにしたのです。

静岡・浜松駅は20分に1本から12分に1本になるイメージ

斉藤鉄夫国交大臣(20日午前):「リニア開業により東海道新幹線の輸送量が約3割程度減少する可能性があり、東海道新幹線の輸送力に余裕が生じる見込みです。この輸送力の余裕を活用して、東海道新幹線の静岡県内の列車の停止回数が現状の約1.5倍程度増加するとした場合、静岡県内における停車頻度が増加し、新幹線と在来線の乗り継ぎがスムーズになるなど利便性の向上が期待される」

 これまでにも、JR東海はリニアが全線開業、つまり大阪まで開業した際には、東海道新幹線の「こだま」と「ひかり」が増便する可能性があることを明言していて、今回の国交省の調査では、その”具体的な数”がどうなるのか、注目が集まっていましたが…

斉藤鉄夫国交大臣:「あくまでも1つのイメージとしてお話ししますと、例えば静岡駅や浜松駅は現在新幹線がおおむね20分に1本停車しておりますが、停車回数が約1.5倍増加するとした場合、概ね12分に1本停車する、このように利便性が大きく交渉をいたします」

JR東海は増便を明言

 国交省によると静岡駅では現在1日53本の停車回数を概ね80本に。浜松駅では49本を概ね74本にすることができるといい、熱海駅や三島駅では現在24分に1本の停車を15分に1本にすることができるといいます。

停車回数の目安

 さらに、県内では1日あたりの新幹線利用者数がおよそ2000人増えるとしていて、2037年にリニアが全線開通した場合、10年間で静岡県への経済波及効果が1679億円にのぼると試算されました。

斉藤鉄夫国交大臣:「国土交通省としては、こうした調査も含めてリニア中央新幹線の全線開業に向けて、引き続き関係者と連携しながらしっかりと取り組みを進めていきたい。今後、こうした調査の結果を東海道新幹線沿線の関係者の皆様に説明すること等により、リニア中央新幹線の意義や効果について一層ご理解を得ていきたい

川勝知事「実現可能性をしっかりお聞きしたい」

 「秋」になりようやく出された調査結果。川勝知事が先ほどコメントを発表しました。

静岡・川勝平太知事(コメント)
「県内の東海道新幹線各駅の停車本数が増加する方向性を、国として示していただいたことを歓迎する。ただし、具体的な停車本数については示されていない。今後、仮定に基づいた調査結果の実現可能性などをしっかりとお聞きしたい」

川勝知事

難波静岡市長「静岡市にも大きな経済効果をもたらす可能性」

静岡市 難波喬司市長(コメント)
「調査結果は、静岡市にも大きな経済効果をもたらす可能性があることを示している。JR東海による本事業の環境影響評価が適切かつ迅速に行われるよう、静岡市としても努めてまいりたい」

静岡市 難波喬司市長

静岡県民は…

 一方、静岡県民は…。

掛川市民 20代:「(新幹線が)静岡に止まる数が増えるのはすごくありがたい。静岡は立地的にいい場所なのでいっぱい(人が)来てくれればその分、静岡の産業も潤うと思う」

浜松市民 40代:「本数が増えるとそれだけ、浜松から来ているが、その分静岡に来るのが楽になる。観光でいろいろな方が来てくれると静岡がアピールできるのでいいと思う」