首都キーウでも聞こえる「砲弾の音」…天気のように確認する「攻撃」 日本大好き弓道2段のウクライナ女性/戦地の国から浜松に①
戦後80年、平和への道を歩みつづける日本。でも、この国の平和はいつやってくるのでしょうか。ロシアの侵攻を受けて、この時間も戦争の真っ只中にあるウクライナ。巻き込まれるのは、いつだって平和を願う普通の人々です…。
2022年、ウクライナから浜松市に避難してきた女性がいます。「オイスカ開発教育専門学校」は4人を留学生として受け入れ、日本語の勉強や寮生活ができる環境を提供しました。

2年の学校生活を終えて
去年3月、番組では2年間の学校生活を終えて、浜松市内での就職を控えたヴィーラさんに話を聞きました。
伊地健治アナウンサー:「初めて自立した生活ですけど不安はないですか?」
ヴィーラさん:「ワクワクしてる」

あれからおよそ1年。ヴィーラさんに再び会いに行きました。
笹村朱里アナウンサー:「ドーブリデイ(ウクライナ語:こんにちは)。笹村朱里25歳です」
ヴィーラさん:「ヴィーラと申します24歳です近い!」

天気のように確認する「攻撃」
同世代の日本人とウクライナ人。でも、その体験や抱える問題は、私の知らないことばかりでした。
笹村アナ:「この攻撃が来ますよということですか?」
ヴィーラさん:「こういう恐れがあるから気をつけてください。みんなは攻撃を天気のように確認する天気のように…」

キーウでも聞こえる「砲弾の音」
いまウクライナでは何が起きているのか…。4月一時帰国したヴィーラさんに現状と、いまの思いを聞きました。
首都キーウ出身のヴィーラさん。10代の頃から日本が好きで、ウクライナに唯一ある弓道クラブに所属、その腕前はなんと2段。日本の漫画と猫が好きな、ごく普通の24歳。いつか日本に行くことを夢見ていました。

2021年にキーウの大学を卒業。しかし直後、世界が変わりました。
ヴィーラさん:「私は仕事をやりながら遠いところからの砲撃の音が聞こえた」
笹村アナ:「キーウにいて攻撃の音が聞こえたんですか?」
ヴィーラさん:「そうそう、こころがグッとなって涙が止まらなかった」

ロシアの侵攻が始まると、ヴィーラさんの家族は戦火を逃れるために引っ越しを繰り返したそうです。
笹村アナ:「家族と離れて日本に来る決断はどうして?」
ヴィーラさん:「夢は叶えよう…という感じ」
笹村アナ:「それは例え戦争が始まったとしても?」
ヴィーラさん:「はい。悲しい状態だけど思いもしなかった状態だけど」

キーウの母に毎日電話
非常時でも後押ししてくれたのは、お母さんのビクトリアさんでした。
ヴィーラさん:「私の夢をわかっていたので、許してくれたかな」
3年間、毎日必ず行うのは、いまもキーウで生活するお母さんへの電話。
笹村アナ:「娘が日本にいることをどう思うか」
ビクトリアさん:「ヴィーラが、今は安全な場所で、砲撃の音が聞こえない生活をしている。ウクライナに住む人々は毎日おびえて暮らしているから、普通の暮らしが、できていてうれしいの」
笹村アナ:「ヴィーラさんの顔を見てどうですか?」
ビクトリアさん:「うーん。電話で見るよりも…、抱きしめたいわ」
日本との時差は7時間。親子の会話に笑顔は尽きません。

自宅には戦争を連想するものも
あれから1年。ヴィーラさんの自宅にお邪魔しました。色々と気になるものが…。
駅からちょっと遠いけど安くてお気に入りの物件を見つけて去年から住んでいます。こちらは趣味の棚…
ヴィーラさん:「うるわしの宵の月。優等生と全然違う逆のタイプキュンキュンしちゃう」

ヴィーラさんの部屋には戦争を意識させるものも。これはヴィーラさんが書いた絵。日本に来ても忘れてはいけない光景だと描き残しました。
笹村アナ:「青空がすごく鮮やかですが奥の方は炎のような燃えてる?」
ヴィーラさん:「戦争が始まってから、ロシアがウクライナの小麦の田んぼを燃やしてた。2人がそれで辛い気持ちになって離れたくないけど、そろそろ離れるこの場所から雲も泣いてますね世界も悲しんでいる」

4月ヴィーラさんは、3年ぶりに一時帰国をしました。浜松に来てから初めての里帰り。その時に撮影したキーウの様子を見せてもらいました。多くのウクライナ市民が自分の時間を過ごしています。その中に無数の国旗で埋め尽くされた広場がありました。

②に続く