創作串とおばんざいで酒場の夜をゆっくりたしなむ 浜松市「久和」
遠州鉄道上島駅(浜松市中央区)からほど近くにある「おばんざいと串あげ酒場 久和(くわ)」。この店の真骨頂は、日替わりのおばんざいと、創作性に富んだ串揚げのラインナップ。その両輪が、客の胃と心を支えている。「おばんざい五点盛り」は日替わりで様々なおばんざいが並ぶ。この日は切り干し大根、ポテトサラダ、木くらげチャンプル、パリパリピーマン、茄子の揚げびたし。すべて手作り、素材の旨味を活かした穏やかな味付け。出汁の染みた切り干し大根は、戻し汁まで生かし、旨味がじんわりと舌に染み渡る。

串揚げは、まず「おまかせ5本セット」でその世界観を知るのがいい。黒はんぺん、エビ、みそかつ、うずら卵、玉ねぎ。パン粉は極薄、揚げ油は白絞め大豆油、温度は180℃。軽やかで胃もたれしない、理想的な串だ。

しかし、本領は創作串にある。例えばカツオ。揚げたカツオに、ニンニク味噌とエシャレットを合わせた特製ダレ。まるで“なめろう”を再構築したかのような独創性がある。サーモンには自家製タルタルをどさり。サバとズッキーニはチーズとトマトソースでサンドし、まるで串カツ版“魚バーガー”だ。



酒場における出汁文化を支える「久和ちゃんの出巻玉子」も人気者。注文を受けてから焼き上げるため、ふるふると湯気を立てながらやってくる。優しい甘みと出汁の香りが、酒をまたひと口進ませる。

夜をゆっくり、そして豊かにしてくれる料理と空間。一串、一皿に、日常の疲れがほどけていくような温度がある。

おばんざいと串あげ酒場 久和
浜松市中央区上島5‐7‐30
TEL 053‐540‐1313
営 16:00~22:30(L.O.22:00)
休 水曜日、第2・4火曜日
Pあり