【静岡高校野球】好左腕がズラリ! 2025夏を彩る精鋭たち・投手編
甲子園に戻れるか?
今年は好左腕が目白押しの年となった。まず、優勝候補の常葉大菊川のエース・大村昴輝(常葉大菊川)は抜群のコントロールと巧みな投球術で打者を仕留める。春のセンバツでは9回まで無失点に抑える快投を演じるも、チームを勝たせることができなかった。もう一度、甲子園に戻って、そのリベンジを果たせるか。

その常葉大菊川の初戦の相手となる可能性があるのが静清。プロのスカウトも注目する長身左腕・内藤優央の投球が命運を握る。春の県予選で8回19奪三振をマーク。球速も145キロまで上げている。角度のあるクロスファイヤーは分かっていても手が出ないボールだ。
完成度の高さなら吉田遥孔(静岡)が頭一つ抜けた存在。バランスのいいフォームから伸びのあるストレートとキレのある変化球を投げ込む。
秋山創大(常葉大橘)と杉本迅(御殿場西)はしなやかなフォームが目を引く。春の県予選で初戦敗退の悔しさを味わったのが秋山。初回に自己最速の141キロをマークするも、中盤につかまって逆転負けを喫した。どう修正してくるのかがポイントとなる。一方の春ベスト8進出に貢献した杉本はストレートの質で勝負したい。

ヒジの故障から復活を目指すのが佐々木琉嘉(湖西)。1年秋からエースを務め、2年秋はチームを県大会初勝利に導いた。角度のあるストレートと同じ腕の振りから投げるチェンジアップが魅力だ。ヒジの痛みでこの春の大会は未登板に終わったが、5月の早稲田実(東京)との招待試合では5回1失点の好投を見せている。

昨秋、日大三島相手に好投した小松原健志(東海大静岡翔洋)はどの球種でもストライクをとることができる左腕。安定感は抜群だ。
2年生ながら、「県ナンバーワン」と評判なのが髙部陸(聖隷クリストファー)。1年夏からマウンドに上がり、秋の県大会では5試合連続完投。さらに今春は球速を147キロまで伸ばして、県優勝に貢献した。この夏はさらにスケールアップした姿を見せてくれるか。同じく2年生左腕では進学校の浜松北に登場した榎本智文も楽しみな存在。鋭い腕の振りから左打者の内角に切れ込む。
右腕陣も充実、小川秋月&山田晃太郎の両エース
右投手も140キロオーバーがひしめく。筆頭格は最速148キロ右腕の小川秋月(日大三島)。フォーム全体に躍動感があり、バッテリー間が短く感じる。気持ちも強く、ピンチになればなるほど燃えるタイプだ
小川と双璧なのは山田晃太郎(加藤学園)。本格派らしい本格派というイメージで常時140キロ台を計測する。高校入学後、体重が約15キロアップして球威も増している。
この春、一躍その名を県内に轟かせたのが山田堅正(磐田南)。140キロを超えるストレートと打者の手元で変化するスライダーとのコンビネーションで抑えていく。
スケール感なら一ノ瀨太一(駿河総合)。体のエンジンが大きく、ズドンと重いストレートを投げ込む。この春は故障に苦しむ中で最速143キロを計測。先輩の杉山一樹(現ソフトバンク)、紅林弘太郎(オリックス)に続き、プロ入りなるか!?
同じく高校からプロ入りを狙う岩田葵(静岡学園)もストレートの威力十分。ギアを上げたときは唸りを上げる。
山本敢生(静岡商)はスリークオーターの角度から、スライダーがキレまくる。しかも、インステップに踏み込む分、打者に恐怖感を与える。

高いポテンシャルを秘める塚田暖琉(浜松開誠館)、春準優勝までチームを引き上げた桐陽の望月佑哉、鈴野佑月のコンビ、父・二朗氏(元ヤクルト、ヤマハ)譲りのパワーを持つ佐藤塁唯(浜松工)、身長191センチの長身右腕・松下紘也(浜名)も必見だ。
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取材・文=栗山 司
くりやま・つかさ 1977年、静岡県生まれ。スポーツライター・編集者。雑誌『野球小僧』の編集者を経てフリーに。2012年に地元・静岡に根差した野球雑誌『静岡高校野球』を自費出版で立ち上げ、年2~3回発行。ブログ『静岡野球スカウティングレポート』(http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/
) でも県内の野球情報を発信する。
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