「転校生左腕の縦スラ⁉」「サッカー名門校が今年は侮れない」静岡高校野球界に精通し過ぎた2人が夏の静岡大会を徹底分析【後編】
精通している。精通し過ぎているかもしれません―。雑誌「静岡高校野球」の栗山司編集長と静岡朝日テレビの片山真人アナウンサーの話しは尽きない。「変態ですね」とアナウンサーらしからぬ言葉も飛び出した夏の静岡大会の展望座談会は後半戦も熱かった。

最も沸いたカードは…
片山:右側のブロックを見ていきましょう。まず桐陽ですね。春躍進した桐陽から加藤学園までのこの山どうでしょう。
栗山:ここのブロックも強豪がそろいましたね。
片山:抽選会で最も沸いたといってもいいかもしてません、島田商業と浜松開誠館の1回戦。
栗山:楽しみですね。
片山:しかも島田球場でやるんですよね。浜松開誠館からしたらやりづらいでしょうね。島商の応援もすごいですもんね。
栗山:オールドファン多いですもんね。島田商業は去年の秋も今年の春も静清に初戦敗れているということで、浜松開誠館も磐田南に初戦で敗れているというところなんですけども、実力的には2校ともベスト8以上の力を持っているチームかなと思います。
片山:開誠館はまた佐野心さんが監督になられた。今年のピッチャーどうですか?
栗山:塚田投手という速球派のピッチャーがいて、ポテンシャルの高い選手がそろってます。
片山:開誠館が甲子園行ったときみたいにはまって投打がかみ合うと…。
栗山:一気に行く可能性があります。
片山:ただ2回戦は加藤学園ですよ。
栗山:加藤学園も好投手山田君。
片山:147、8投げるという。さらに米山監督の息子さんもレギュラー。
栗山:親子鷹で。
片山:加藤学園も春ベスト16ですけどそれ以上の力はあるかなという感じしますよね。
栗山:そうですね。あとそうですね桐陽は当然、投打のバランスいいですもんね今年は。
片山:鈴木兄弟、琉樹空(るきあ)君と弟の陸翔温(りとあ)君。あと鈴野投手。
栗山:あと望月投手ね。
片山:春準優勝したという理由が分かりますよね。
栗山:あとは静岡学園が侮れないなと思っていまして、近年また盛り返しているんですよ。岩田君というピッチャーがいて140キロ以上投げるんですよ。本人も将来的にプロに行きたいと言っているほどの思いを持っている子で。
片山:サッカーの名門という印象強いですけど野球も頑張っているんですよね。人工芝のグランドに行くと端っこで頑張っているんですよね。静学も注目したいですね。

栗山:特別支援が出ますね。
片山:熱海・佐久間・浜北特別支援の連合チーム。浜北特別支援学校も今年初めて高野連に加盟して3校連合で戦うということで池田謙信君(浜北特別支援)という3年生なんですけど、生まれつき耳が聞こえなくて、彼も2023年のWBCを見てみんなが野球を楽しんでるのから興味を持って。この間、練習試合に行ってきたんですけど、1塁コーチャーで必死に声を出していて胸が熱くなりました。彼も含めて10人なのでチーム一丸、特別な忘れられない夏にしてほしいですね。

いい意味で変態
片山:続いて下のブロック、ここも強豪校ひしめくという。
栗山:激熱なブロックですね。
片山:東海大静岡翔洋と常葉大菊川のブロック。(常葉大菊川を)大本命に栗山さん挙げていらっしゃいましたがここのブロックの印象は。
栗山:本当にノーシードも含めてこれだけ本当に集まるのかという。
片山:そうですね。ノーシードで有力校、実力校で言いますと常葉大橘だったり掛川東、富士市立も、浜松市立も実力校ですし。静清もプロ注目の内藤投手も。春、8回で19奪三振。すごいですね。(静清は)池新田と初戦ですが。
栗山:池新田も転校生の左ピッチャーが結構いいんですよ。
片山:転校生で左ピッチャー来たんですか? 転校生まで把握されていらっしゃるんですね。
栗山:縦のスライダーがすごくいいのではまったら…。
片山:スライダーじゃなくて「縦」のスライダーって、転校生のことご存じなんですね、変態ですね(笑)。もちろんいい意味で。
栗山:橘も好投手の秋山君いますし。

イチロー効果⁉
片山:そしてその下のブロックはどうでしょう?静岡商業が春ベスト8入りしています。そのほかにも静岡市立、磐田東、富士高校…。
栗山:静岡商業が中心になるとは思うんですけど、それ以外にも知徳もいますしね。静岡市立、磐田東とそろっていますので。知徳は今年左ピッチャー2人いて3年生の方は宝田君といって安定感があるピッチャーで、もう一人は2年生なんですけど190センチあってスケール感あります。
片山:何食べたら190センチになるんですかね笑
栗山:で、静岡市立と磐田東は去年2回戦で当たっているんですよ。その時は3-2で静岡市立が勝っているんですよ。
片山:磐田東の監督が代わって…。
栗山:いい1年生が入ってきたりというところで。
片山:結果出していきたいところでしょうね。
栗山:あと富士高校ですね。イチロー効果ですね。
片山:三島南が21世紀枠で甲子園に出たときの稲木監督が今、富士高で監督をやってまして、稲木さんが取り組んでいるのが幼稚園とか保育園とかで高校球児が野球を教えるという活動をずっとやっていて、イチローさんがサプライズで訪問されるという。あと清水桜が丘と富士宮東もね。
栗山:清水桜が丘の練習試合をナイターで見たんですよ。清水桜が丘に2年生にショートの子がいるんですけど、この子が日大三島でピッチャーとかで活躍した永野君の弟で。1番ショートで。お兄ちゃんそっくりですね。プレースタイルもガツガツしている感じで。

流れを研究
片山:では最後、静岡高校から日大三島までのブロックですが。
栗山:静高、日大三島という2強が入ったというところですが、個人的に面白そうだなと思うのは浜松修学舎と星陵ですね。両方とも元プロ監督なんですよ。元ピッチャーで。なかなかこういう対決も珍しいですよね。
片山:県内では確かに珍しいですね。それが1回戦から。
栗山:藤枝東も春、常葉大橘を破って。面白い取り組みをしていて、野球の流れを研究しています。
片山:野球の流れを?
栗山:はい。流れと言うのはどういう関連性があって生まれるのかというのを。
片山:大学のようなことやってるんですね。
栗山:それが結果としてこの春表れたと。話を聞くと去年の県大会の全試合のスコアを全部打ち込んで。
片山:じゃあエラーとかが失点につながったとか、そういうことを。
栗山:そうです。どういう時に得点が入りやすいのかとか、それを活かしてダークホースとして行く可能性も。
片山:御殿場南にいいピッチャーがいるとか。
栗山:小林君。春の大会で負けてはしまったんですけど掛川西をしっかり抑えた。
片山:ここまで107チーム見ていきましたが、改めてどんな大会になりそうでしょう
栗山:最初にお話ししましたが、常葉大菊川、聖隷クリストファー、日大三島が中心になってくると思うんですけど、それ以外の高校も一つのきっかけで一気に来る可能性もあるのかなと。流れが読めないですよ。高校生は一つのきっかけで変わるので。
片山:特に今年は連戦もないのでしっかりと休養もしながら勝ち上がっていくというチームが見られるのはいいですよね。満身創痍のヘロヘロというのはかわいそうですからね。
栗山:どこが勝ち上がってくるのかワクワクしますね。
片山:静岡朝日テレビでは静岡大会の模様を準々決勝から実況生中継でお伝えします。熱き戦いの模様、魂込めてお伝えしますのでぜひご覧ください。
栗山:静岡高校野球2025夏直前号、現在静岡県内書店で販売しておりますので情報仕入れたい方はぜひ読んでいただけるとうれしいです。
片山:球場のバックネット裏行くとみんな静岡高校野球を持って大会を見ていますのでぜひ。

座談会前半の様子はこちらから(https://www.youtube.com/watch?v=wiVPT1MSt2A)
栗山 司(くりやま・つかさ)1977年、静岡県生まれ。スポーツライター・編集者。雑誌『野球小僧』の編集者を経てフリーに。2012年に地元・静岡に根差した野球雑誌『静岡高校野球』を自費出版で立ち上げ、年2~3回発行。ブログ『静岡野球スカウティングレポート』(http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/) でも県内の野球情報を発信する。
「静岡高校野球2025夏直前号」が現在発売中。お求めは静岡県内書店にて。
片山 真人(かたやま・まさと)1987年、静岡県富士市生まれ。静岡県立吉原高校入学後、野球同好会を立ち上げ、2年生の時に高野連に加盟。同校初代キャプテンを務める。高校野球を伝えたいとアナウンサーを志し、現在は高校野球取材や実況、ドラフト取材などを精力的に行っている。
