まっすぐな一杯は太く、黒く、力強い 三島市「〆蕎麦えびす」

JR三島駅直結、アスティ三島にある「〆蕎麦えびす 串・酒・肴」。昼はそば処、夜は肴と串が並ぶ“そば居酒屋”という二面性を持つこの店は、去年8月にオープンして以来、三島駅を利用する人々の胃袋をつかんで離さない。「静岡県東部で一番太い」と自負する極太の田舎そばは、そばの実を殻から挽き込むため、色は黒く、香りは力強い。しっかりとした歯ざわりと、口いっぱいに広がるそばの香りが特徴だ。看板は「肉そば」。使用するのは富士湧水ポークのバラ肉。白だしとみりん、薄口醤油で丁寧に炊かれ、そばの上にふんわりと盛られる。つゆにはラー油を効かせ、ピリッと辛味のある味わいに。極太のそばがこの濃いめのつけダレをしっかりと受け止め、噛むほどに豚の旨みと合わさって、まさに一口ごとにパンチがある。「そばを食べている」という実感に満ちた一杯だ。途中で生卵を割り入れれば、まろやかさが加わり、表情ががらりと変わる。

肉そば(1012円)
肉そば(1012円)

もうひとつの人気メニューが「肉カレーそば」。スパイスの香りが立ち上るカレーつけダレに、豚肉が沈む。辛味は控えめで、どこか和出汁の落ち着きを感じさせる、じんわりと沁みる一杯だ。

肉カレーそば(1210円)
肉カレーそば(1210円)

夜にはそばを締めにする楽しみが広がる。「〆そば」は、そばの量を1〜4枚から選び、つゆとトッピングを組み合わせて自分好みに仕立てられる。“つゆ”は5種。基本のそばつゆに、桜えびと三島椎茸の白だし、スパイス香るカレーつゆ、酸味とまろやかさが溶け合うトマト豆乳つゆ、そしてくるみダレ。とくに、地元の桜えびと三島産しいたけを使った白だしは、滋味深く、ほっとする味わいだ。

〆蕎麦(1枚)462円/そばつゆ176円
〆蕎麦(1枚)462円/そばつゆ176円

つゆは5種類の中からチョイス
つゆは5種類の中からチョイス

串物にも目を見張る工夫がある。富士湧水ポークを使った野菜巻き串は、旬のアスパラや葉ショウガなど、食感と香りを生かす素材を選び抜き、薄切りの豚でやさしく巻き上げる。口に入れると、野菜の甘みと肉の脂が一体となり、そばとの相性も申し分ない。

旬野菜巻き串(各種363円)
旬野菜巻き串(各種363円)

駅チカの利便性を超えて、日々のそば処としての役割を果たすえびす。一杯のそばから始まり、一杯のそばで締める…。そんな粋な一日をくれる。

まっすぐな一杯は太く、黒く、力強い 三島市「〆蕎麦えびす」

〆蕎麦えびす 串・酒・肴
三島市一番町16-1 アスティ三島北口
TEL 055-939-9883
営 11:00~22:00(L.O.21:30)
休 なし
Pなし