マグロの海、丼の上 「どん福」で出会う鮮度と矜持の29杯 静岡市
JR清水駅から徒歩5分、清水港の風を感じる「河岸の市まぐろ館」の1階。活気ある港のランドマークの一角で、凛とした空気を纏う食事処がある。その名は「どん福」。その丼には、鮮度と真心がしっかり詰め込まれている。扱うマグロは、一船買いの業者から直接仕入れる。市場を通さないからこそ可能な品質と価格がここにはある。その時々で1番旨い極上のマグロが、丼の上に惜しげもなく盛られる。迷ったときには、まず「まぐろ三昧丼」を試してほしい。メバチマグロの赤身、ビンチョウマグロの中トロ、炙り、そして本マグロにネギトロまでが揃う、いわばマグロの見本市。脂の甘みと赤身の力強さが織りなす調和に、箸が止まらない。

丼にはすべて、メカジキの煮つけと、その骨から出汁をとった味噌汁が付く。口当たりはやさしく、食事全体に“海の香り”が通底する。ごはんには山形県産「はえぬき」を使用。粒立ちがよく、ネタと喧嘩しない上品な甘さが魅力だ。

現在、提供する丼はなんと29種類。もともとは1種からのスタートだったが、客の声に応えるうちに、気がつけば丼尽くしのメニューに育った。

駿河湾の恵みを一気に味わえるのが、「生しらすと生桜えびの駿河丼」。プリプリとした生シラスに、由比産の生桜えびの甘みと食感が寄り添う。季節を感じる一杯だ。

「サーモンといくらの親子丼」もまた人気者。クセがなく脂のりが抜群のサーモンを、なんと平均10枚。そこにイクラをたっぷりと合わせた一杯は、見た目も味も満足感に満ちている。

一品料理なら「ミックスフライ」が定番。アジ、黒はんぺん、エビ、そしてトロの部分を使ったマグロフライが並ぶ。とくにビンチョウのトロを揚げたマグロフライは、ふわっと軽く、噛めば旨味がしっとりと口に広がる。

どの料理にも、素材を見極める目と、客の声に応え続ける店の姿勢がにじんでいる。市場の喧騒の中にあって、ひときわ穏やかに、しかし力強く旨い丼を供するこの店。“何を食べよう”ではなく、“何を食べても旨い”。そんな確信がある。

どん福
静岡市清水区島崎町149 河岸の市まぐろ館1階
TEL 054-352-0010
営 10:30~15:00/土・日・祝 10:00~18:00
※ネタがなくなり次第終了
休 水曜日 ※祝日は営業
共同Pあり