鮮魚を愛する者が導く「マグロの正解」 藤枝市「魚時会館 おさかな亭」

JR藤枝駅前から徒歩数分にある「魚時会館 おさかな亭」は、もともと昭和8年創業の鮮魚店がルーツというから、目利きに一片の迷いもない。その看板にふさわしく、ここでは「マグロ」の世界がまるごと味わえる。まずは「上鉄火丼」。用いるのはミナミマグロの中トロのみ。赤身のコクと脂の甘み、そのバランスこそが中トロの真骨頂。しっとりとした身質、艶やかな光沢、噛むごとにじんわり広がる旨味。そこにすき身がそっと寄り添い、箸を運ぶたびに口の中が整っていく。

上鉄火丼(2380円)
上鉄火丼(2380円)

変化球は「するがまぐろバーグ御膳」。マグロ100%のハンバーグだ。表面を焼きつけたあと、富士山の溶岩プレートで卓上仕上げ。中はレア、外はパリッと。和風ステーキのようでもあり、鶏肉のようなほぐれ感もある。ワサビ醤油で食べると、魚の旨みがくっきり際立つ。

するがまぐろバーグ御膳(1650円)
するがまぐろバーグ御膳(1650円)

「季節のランチ」は品数が素敵だ。格子仕切りの器に、小鉢、揚げ物、刺身、煮物…まさに“和の宝石箱”。中でも豚の角煮や黒毛和牛のローストビーフなど、ルーツが鮮魚店らしからぬ豪華さに驚かされる。どこを食べても丁寧な仕込みが光る。

季節のランチ(1870円)※仕入れ状況で内容に変更あり
季節のランチ(1870円)※仕入れ状況で内容に変更あり

煮魚なら御前崎産キンメダイの煮付け。700gほどの立派な個体を使い、すっきり甘めの煮汁が深く染みる。皮はトロリと柔らかく、身はふわりと崩れ、骨の際から旨味があふれる。

金目鯛片身煮付御膳(2750円)
金目鯛片身煮付御膳(2750円)

極めつけは「まぐろのガワ定食」。通常はカツオで仕立てる冷や汁を、ミナミマグロで。氷入りの白味噌ベースにがわ(赤身とすき身)が浮かび、口に含めばだしと魚の風味が涼やかに鼻を抜ける。夏の昼下がりに、これほど沁みる一杯があるだろうか。

まぐろのガワ定食(1650円)
まぐろのガワ定食(1650円)

鮮魚を愛する人が鮮魚で勝負する店。それは、魚を扱うということの矜持に他ならない。

鮮魚を愛する者が導く「マグロの正解」 藤枝市「魚時会館 おさかな亭」

魚時会館 おさかな亭
藤枝市駅前2‐7‐2
TEL 054-641-2130
営 11:00~14:00(L.O.13:30)
  17:00~21:00(L.O.20:30)※ディナーは金、土曜日のみ営業
休 水曜日、木曜日
Pあり