寿司と和の粋 火入れの技が光る鮪のステーキ 焼津市「食事処すずき」

JR西焼津駅から徒歩数分の住宅地にしっとりと馴染む一軒の「食事処すずき」は、寿司と海鮮料理を柱に、地元の常連客を惹きつけてやまない。店主は、焼津市の老舗「寿し処 昇る利」で腕を磨いた鈴木将之さん。人気のランチは「にぎり寿司(上)」のセット。マグロやサーモン、モンコウイカ、白身、アジ、玉子が並ぶにぎりに、茶碗蒸し、サラダ、味噌汁、そしてサービスのコーヒーが付く。1760円でこの内容なら、昼どきに行列ができるのも納得だ。

にぎり寿司(上)1760円
にぎり寿司(上)1760円

マグロは赤身の美しいメバチ。酢飯には2種の砂糖をブレンドした合わせ酢を使用。ネタとシャリがふわりと一体になるよう、空気を含ませて握る技術が光る。

メバチマグロ赤身
メバチマグロ赤身

この夏の新顔が「ねぎとろ山かけ丼」。粗めにたたいたネギトロは、卵黄ととろろに絡んで、スプーンが止まらない。丼としてかき込むもよし、別添えのつゆでつけ丼風に楽しむもよし。食欲が落ちがちな時期に、まさに“するする”と胃に収まる一杯だ。

ねぎとろ山かけ丼(1430円)※数量限定
ねぎとろ山かけ丼(1430円)※数量限定

単品料理にも職人の遊び心が顔を出す。「鯵のたたき」は、あえて粗めに叩き、身の弾力と風味が全面に出ている逸品だ。

鯵のたたき(770円)※仕入れによって価格変動有
鯵のたたき(770円)※仕入れによって価格変動有

驚かされるのは「鮪尾の身ステーキ」。本来はスジが多く扱いづらい部位だが、絶妙な火入れと醤油・ニンニクベースの甘辛ダレで、まるで赤身肉のステーキと錯覚するほどの仕上がりに。

鮪尾の身ステーキ(748円)
鮪尾の身ステーキ(748円)

さらに、「タコ紅生姜天」は、紅しょうが、ネギ、だし粉を衣に混ぜ、たこ焼きのような香りと味わいを生んだ創作メニュー。常連の声から定着したとか。

タコ紅生姜天(660円)
タコ紅生姜天(660円)

締めには「塩昆布トマト」。湯むきトマトに塩昆布の旨味をまとわせた一皿で、こってり料理の合間にひと息つける“和のクールダウン”だ。

塩昆布トマト(363円)
塩昆布トマト(363円)

技と発想、どちらもある。すずきの料理は、肩肘張らないが、すっと胸に沁みる。 

寿司と和の粋 火入れの技が光る鮪のステーキ 焼津市「食事処すずき」

食事処 すずき
焼津市西焼津32‐1ラポート102
TEL 090-3589-1564
営 11:30~14:00/17:00~22:00
        (フードL.O.21:00/ドリンクL.O.21:30)
休 月曜日・不定休あり
Pあり