辛み、酸味、ハーブの香り…南米の陽気と滋味に酔う 三島市「ピカパウ」

伊豆箱根鉄道、三島広小路駅を出てすぐ、異国の気配がふっと漂う。「Pica Pau(ピカパウ)」は、ペルー、ボリビア、パラグアイ、ブラジル、チリ、そしてメキシコ——南米各地の代表料理が一堂に会する、本場の味を楽しめる一軒だ。パラグアイに長年住んでいたという店主の松本弘さんおススメの一品が「鶏肉と野菜いため」。ニンニク、タマネギ、ピーマン、パプリカを香ばしく炒め、刻んだボリビアの唐辛子「グサニート」と塩、ワインビネガーで味を決める。さらにトマトとパクチーを加え、仕上げに醤油。香ばしさ、辛味、酸味、ハーブの香りが複雑に絡み合い、日本人の味覚にもすっと馴染む仕立てだ。ごはんとサラダ、ドリンクが付くランチセットで、満足感も十分。

鶏肉と野菜いため(1550円)
鶏肉と野菜いため(1550円)

メキシコ料理「グアカモレ」は、アボカド、タマネギ、トマト、パクチーに塩とビネガー、オリーブオイルで仕上げたクリーミーなディップ。焼きたてのトルティーヤに挟んでもよし、チップスにのせてつまんでもよし。軽やかで爽やか、お酒の相棒としても抜群の相性だ。

グアカモレ(1100円)
グアカモレ(1100円)

「はちのすのシチュー」は、牛の胃袋を柔らかく茹で、ニンニク、タマネギ、パセリ、パプリカ、ニンジン、ポテトとともに、ペルー産の黄色い唐辛子ペーストで煮込む。ハーブの香りとピリッと辛いスープ、弾力あるハチノスの食感が、じわじわとクセになる。

はちのすのシチュー(1450円)
はちのすのシチュー(1450円)

魚介好きには「セビチェ」がおすすめ。鯛とエビをたっぷりのレモン汁と塩、唐辛子、パクチーでマリネにした、ペルーの伝統料理だ。酸味と辛味が調和し、魚介の甘みを引き立てる。素朴な構成ながら、奥行きのある味わい。

セビチェ(1100円)
セビチェ(1100円)

忘れてはならないのが南米の多くの国で食べられている「エンパナーダ」。小麦粉とマーガリンで作ったパイ生地に、鶏肉、タマネギ、パプリカ、ピーマン、セロリ、パクチー、パセリを炒めた具を包み、オーブンで焼き上げる。オリーブと卵も入り、クミンとオレガノの風味がじんわりと広がる。カリッと焼けた皮とジューシーな具のコントラストに、誰もが頷くはずだ。

エンパナーダ(350円)※テイクアウト
エンパナーダ(350円)※テイクアウト

パラグアイで培われた味覚と、三島の土地で出会う人々の好みに寄り添う知恵。ひと皿の中に詰まっているのは、遠い国の日常と、ひとつの食卓に向かう誠実さだ。

辛み、酸味、ハーブの香り…南米の陽気と滋味に酔う 三島市「ピカパウ」

Pica Pau
三島市広小路町4-7 タカハシビル1階
TEL 055-976-1156
営 11:30〜22:00(L.O.21:00)
休 月曜日
Pなし