釜揚げから生まれる、とろける和のコク 静岡と讃岐を結ぶうどん交差点 静岡市「こころ彩」
築150年の古民家に湯気が立つ。「本格讃岐うどん こころ彩(いろ)」。静岡市駿河区高松にあるこの店は、本場香川仕込みのうどんを、和の空間でじっくりと楽しめる場所である。看板は彩りセット。釜たまバターのうどんと天ぷら6種が胃袋を刺激する。香川県産と北海道産、2種の国産小麦をブレンドした自家製麺は、もっちりとしながらも芯があり、強いコシと歯応えを備える。茹で上げたてを釜から直接盛りつけ、コク深いバターと黒胡椒、そして静岡県産の「美黄卵」を絡めて食す。まさに和風カルボナーラと呼ぶにふさわしい一杯だ。

セットの天ぷらもまた格別。板状に切った大根はジュワッと汁気を含み、磯辺揚げにしたちくわ、塩麹に漬け込んだ柔らかいかしわ(鶏肉)など、味付けは一品ごとに異なり、丁寧に考え抜かれている。

この夏の涼味として人気なのが、「とろろ本わさび醤油(冷)」。本わさびとおろし金が添えられ、自分ですりおろして香り高くいただく。ふわっとした辛味と爽快感、とろろのねっとり感と合わさり、うどんの清涼感を引き立てる。

あたたかいものを求めるなら「きつねうどん」。ふっくらと煮含められたお揚げは大きく、甘じょっぱい煮汁を吸い込んだその味わいは、どこか懐かしさすら感じさせる。

そして平日限定で供される「彩りパフェ」。富士宮市の「いでぼく」のソフトクリームを主役に、和三盆ソース、生クリーム、和三盆シャーベット、手作りクッキーを重ねた贅沢な甘味。食後に、心までととのうようなやさしさがある。

香川の技と静岡の素材。こころ彩は、そのふたつを結ぶ“うどんの交差点”だ。

本格讃岐うどん こころ彩
静岡市駿河区高松2576
TEL 054-659-9700
営 11:00-15:00(L.O.14:30)
※テイクアウト~16:00
休 火曜※祝日は営業
Pあり