竜巻被害から2週間 ビニールハウス5棟が倒壊しイチゴの苗が全滅した農家「来年度の収入は0」 静岡・吉田町

竜巻は静岡県吉田町にも大きな爪痕を残しました。甚大な被害を受けたイチゴ農家が今求めるものは復旧のきっかけです。
「朝はやっぱ辛くて。そうですね・・・。イチゴのことを思い出してしまうので。先が見えないんでとても不安になるので、胸の辺りが苦しくなっていますね」
5日の竜巻でなぎ倒された吉田町の農業用ハウス。
その中でイチゴの苗を見つめる男性。
中村農園の中村敦さんです。
一瞬の竜巻で生活が一変しました。
中村さんの農園では5棟のビニールハウスが倒壊。
20年間勤めた会社員を辞め、3年前にここで農園を開いたばかりでした。
次のシーズンのために2025年7月から2週間ほどかけて植えた1万2000株のイチゴの苗も全滅しました。
この日はビニールシートの撤去作業などに追われていました。
復旧作業は思うように進んでいません。
「どうしようもないですからね。こうなってしまうと何をしていいのかが分からなくて」
「ビニールもしていないので虫など入りたい放題ですし。葉っぱが病気っぽいのが出てきていたり。もったいないですけどもうちょっと使えないかなと」
損害額はイチゴの売り上げだけでおよそ1300万円に上ります。
さらにビニールハウスの新設や設備の新調など、来シーズンに向けてかかる費用は4500万円を超える見込みです。
「来年度の収入は0になるので、どうにかしないと住宅ローンもありますし、こっち(ハウス)の借金もありますし、生活もありますので困っています」
中村さんはいち早くビニールハウスの撤去を進めたい気持ちですが、まだ国が被害の大きさを認定していないため思うように進みません。
「いつから再開できるか。いつ撤去をはじめて新しくハウスを建てられるのかというのが、はっきりと分かっていないので不安です」
再開に向けて早急に必要な被害の認定。
被災者は次に進むための一歩を踏み出せずにいます。
一方、小泉農水大臣は19日竜巻被害に対する支援策を発表。
農業に関わる施設などの修繕費の10分の3を支援するということです。
さらに、被害申請の手続きがなくても支援ができる体制を整えていく方針だといいます。
