“学歴詐称”問題浮上で田久保市長の『公務激減』 他市町との会議欠席で「広域連携に支障」と懸念の声 静岡・伊東市
静岡県の伊東市議会での不信任決議を受けて、「議会解散」を選んだ田久保真紀市長。9月10日解散後の会見で田久保市長は「(伊東市)衰退の道から再生の道へ至る過程において、今のこのあり方でよいのか」と話し、「取り組まなければいけない課題山積みだ」と語りました。

6月以降は公務が激減
しかし、6月に“学歴詐称”問題が浮上してからは公務にも影響し、市政停滞の大きな要因となっています。6月には22件あった公務(職員との会議・打合せ等は除外)が、7月には9件に激減(当初予定は20件)。例えば、7月4日に静岡市で開かれた「定例市長会議」は、周りに迷惑が掛かるなどの理由で欠席。7月19日の海開きは、例年伊東市長が挨拶していましたが、主催者側が出席を断り、伊東市観光協会会長が(田久保市長の)代役を務めました。ほかにも市民の声を反映させる「田久保市長と語る会」など中止が相次ぎ、11件の公務が欠席・中止になっています。
さらに辞職を撤回した8月は対外的な公務は7件です。そして9月も19日までに行った公務は、台風15号の被害現場視察を含め2件。月末までに予定されているものは定例会見など3件となり、計5件にまで激減します。
公務が減っている事について市の担当課は、「出席することで取材が殺到して周りに迷惑が掛かるため、欠席している。また、一時辞職表明していたので、陳情や要望の訪問を相手側が控えるようになった。さらに観光イベントなどに関しては、市観光協会をはじめ経済3団体が市長に対し、辞職を求めているため、主催者側の判断でお声が掛からなくなっている」などと実情を話しました。

周辺自治体は3カ月で100件前後の公務
このような状況を、近隣自治体の秘書担当課に話すと「他の首長さんの状況は、今まで知らなったが、うちの首長ではありえない。そんなに遅く来たり、早く帰ったり出来るのか」と驚くコメントが得られました。
実際に周辺の他の首長の3カ月間の公務(職員との会議等除く)状況を調べてみると、回答をもらった自治体では。
【熱海市】6月54件、7月47件、8月37件。合計138件。
【伊豆市】6月41件、7月32件、8月21件。合計94件。
【伊豆の国市】6月44件、7月53件、8月44件。合計141件。
【東伊豆町】6月30件、7月54件、8月26件。合計110件。
【伊東市】6月22件、7月9件、8月7件。合計38件。
近隣自治体が100件前後の公務があるのに対し田久保市長はわすが38件。しかも、この中で田久保市長の報酬は最も多い85万5000円。(伊豆の国市長80万円、伊豆市長77万円、熱海市長74万8000円、東伊豆町60万9000円)。
伊東市は「10月からは首長会議など欠席していた公務を再開する」としています。

短い在庁時間に不満の声も
さらに8月には午後4時過ぎに退庁することが多かった田久保市長の公務時間が短いことにも不満の声が出ています。市の近持剛史企画部長は「9月から学校が始まり、災害(台風等)シーズンになるため、午前8時半から午後5時まで居て欲しい」と伝えていましたが、現状を見てみると、9月の公務がない時の登庁は、平均で午前10時前後、退庁は(平均)午後5時半前後となっています。
周辺自治体の担当課によると、熱海市の斉藤栄市長は午前8時半には登庁し、午後6~7時に退庁しているそうで、本会議開催時は午後9時ごろまで働いているといいます。また伊豆の国市の山下正行市長は、午前8時半に登庁し、午後5時ごろ退庁しているそうで、担当秘書は「健康維持のために早めに帰って頂いているが、去年は300日公務があった」ことを明かしました。
こうした中、田久保市長が、県の定例市長会や美しい伊豆創造センター理事会などに欠席していることから、9月18日、伊豆市の菊地豊市長は定例記者会見で「伊東市政の不安定化が長期化すると、伊豆半島の大切な仲間として私どもとしてもやりにくい所がある」と述べ、早期の騒動収束を求めました。また伊豆半島7市6町首長会議や美しい伊豆創造センターなど、伊豆半島の広域連携の重要性を理由に挙げ、「1日も早く安定し、伊豆半島の重要なリーダーシップや役割を果たして頂きたい」と語りました。
しかし、ある首長は「市職員や議会との信頼関係はもとより、経済団体や市民との信頼関係もなく、我々首長との信頼関係が構築されていない中で、連携はできない。できるはずがない」と語気を強めて本音を語りました。
市政が停滞している伊東市ですが、耐震基準を満たしていない宇佐美保育園の移転計画や小中学校の統廃合など課題は山積しています。