ふたをせずに炊き上げる釜めし専門店の極意 焼津市「手毬」

焼津市大住の住宅街に佇む「御食事処 手毬」。釜めし一筋、創業40年を迎えた老舗だ。地元に根差し、世代を越えて愛される店である。看板は「五目釜めし」。名前の印象に反して、その中身はじつに15種類前後もの具材が入る。干しシイタケやカツオ、鶏肉、牛肉などからとっただしを、秘伝の「釜づゆ」と合わせて炊き上げるのが手毬流。しかも特徴的なのは、炊くときに“ふたをしない”こと。米の状態や音の変化を五感で確かめながら、だしの出る具材から順に釜へ入れていく。火加減や水分を見極め、最後に味の濃い具材を加える。熟練の勘がものを言う仕事だ。契約農家から届くコシヒカリは、だしをしっかりと吸い込み、ふっくらもちもちに仕上がる。

五目釜めし(1925円)
五目釜めし(1925円)

秋に登場する「栗釜めし」は、県内産の栗を寝かせて甘みを引き出し、蒸してからたっぷりと盛り込む。ひとり前に8~10粒も入るため、ごはんが見えないほど。甘みの増した栗とだしの効いた米の塩味が重なり、口いっぱいに秋の豊かさが広がる。

栗釜めし(1870円)※季節限定
栗釜めし(1870円)※季節限定

さらに「松茸釜めし」も贅沢の極み。火を入れた途端に立ちのぼる芳醇な香りが、米粒一粒に染み渡り、茶碗に盛れば至福の松茸ごはんとなる。

松茸釜めし(2970円)
松茸釜めし(2970円)

一品料理では「米なす田楽」が人気。素揚げした米なすに、自家製の鶏みそをかけた一皿は、とろとろの果肉と甘辛みその相性が抜群だ。

ふたをせずに炊き上げる釜めし専門店の極意 焼津市「手毬」
米なす田楽(715円)

ふたをせずに炊くという唯一無二の調理法で、季節ごとの恵みを釜に込める「御食事処 手毬」。焼津で出会える、四季折々の釜めし文化を堪能したい。

ふたをせずに炊き上げる釜めし専門店の極意 焼津市「手毬」

御食事処 手毬
焼津市大住1085-1
電話番号:054-623-5296
定休日:水曜日
第1・3・5木曜日
営業時間:11:00-14:00 L.O.13:30/17:00-21:00 L.O.20:00