【検証 伊東市長選】メガソーラー計画に対する各候補の主張は? どうなっているの? そもそも争点?
１４日投開票の伊東市長選。発端は学歴詐称問題による、前市長の失職です。八幡野港での田久保真紀さんの第一声は、伊豆高原のメガソーラー計画に終始しました。
無・前職 田久保真紀候補（５５）演説：「あの山が危ない、この海が危ない。それを防ぐことができる、もう一度ひっくり返すことができるのは私しかいない」
伊豆高原のメガソーラー計画がクローズアップされたのは２０１７年のこと。建設に反対する市民運動が本格化し、市議会では、建設に反対する決議を全会一致で可決。翌年には、メガソーラー建設の規制を強める条例を制定しました。
その後、伊東市が事業者に対して、工事に必要な河川占用の許可を認めなかったことで、今に至るまで、６年以上にわたって工事はストップしています。工事再開の動きはありませんが、今回の選挙戦で田久保さんは…。
無・前職 田久保真紀候補（演説）：「私が市長になって中をひっくり返してみたらなんですか。裁判は負けそうになっている。住民みんなが反対した計画が止まらない。しかも今、裁判に負けそうになっている」
「裁判に負けそうになっている」と、繰り返し発言。さらに…。
無・前職 田久保真紀候補（演説）：「私はあの時辞職するのはやめて、意見書を書くことを選びました。きょうはもう全部話します。その結果何が起こったか。私の意見書は県に届いていない。保留になっている」
市の担当者は
田久保さんが主張する「意見書」とは…。
市の担当者に聞きました。
伊東市はメガソーラー計画に反対する市民団体から、事業者への宅地造成等規制法の許可を取り消すように訴えられています。５月の法改正で許可権者が市から県に変更されたため、裁判の経緯などについて県から照会があり、市の意見を取りまとめることに…。
担当課が作った素案に、当時の田久保市長が反対し、市の従来の主張と異なる「宅造法を不許可にすべき」といった内容に、原告寄りの見解へと、自ら修正したといいます。
担当課長は市が裁判で不利になる可能性もあることなどから、県に対して「当局と市長の考えに相違があるため、すぐには回答できない」と報告し、決済を保留することになったということです。
伊東市の担当者：「何をもって裁判に負けそうと言っているのかは分からない」
田久保さんは市を訴えている市民団体で、代表を務めていました。
無・前職 田久保真紀候補（演説）：「メガソーラーの計画は、このままあらぬ方向に進むかもしれない。あの立場にどうしても戻ってほしくないと言う人たちがいるなら、私は戻らなくちゃいけない」
はたして、発言の真意は…。
無・前職 田久保真紀候補（取材）
Ｑ．裁判に負けそうになっていると言っていたが、田久保さんが感じられた根拠は？
Ａ．「（事業者への）いわゆる宅造法の変更許可が伊東市で降りてるんですけど、伊東市は川を使わせないと言っている。でも、（宅造法の許可申請で）排水路の入っている計画は許可して、非常に大きな矛盾が生じています。それによって裁判が非常に厳しい立場に立たされている。私はそういうふうに見ています」
基準を満たせば許可しなければならない宅造法に絡む申請と、河川占用の不許可が矛盾しているから…というのが根拠のようです。
意見書については…。
無・前職 田久保真紀候補（取材）
Ｑ．市に不利になる内容ということで県と調整して、今保留にしていると。受け止めは？
Ａ．「でも、市長の意見書ですよね。市長が書いた意見書を、私もちょっとその見解を初めて聞きましたけど、不利になるから保留にしている。それはどうなんでしょうね」
９人が立候補し、過去最多の争いとなっている今回の市長選。条件付きで賛成の立場を示している、岩渕完二さん以外は、いずれも伊豆高原のメガソーラー計画に反対の立場です。
無・元職 自民推薦 小野達也候補（６２）（取材）：「河川を占用させないという不許可。これは市長の裁量でできることで、裁判でも認められました。これ以上工事が進むことはないので、（田久保候補は）何か不利のようなことを言っているようですが、私はそう考えておりません。裁判は必ず勝てると思っております」
無・新人 国民推薦 杉本憲也候補（４３）（取材）：「私は議員時代から一貫して反対の立場を取っておりますので、これは市長になっても変わらず、反対の立場を貫きたいと思っています」
そもそも事業再開の動きがない今、メガソーラー計画は争点になっていないとの見方もあります。伊東市長選は、１０日までに７５３５人が期日前投票を終えていて、前回５月の市長選と比べ、３０％余り増加しています。
