「ビンテージ感」「『はなれ』がある」静岡市の個性的な団地を移住希望者に長期間貸し出し 対象は静岡県外居住者
静岡市は移住者を増やすため、市営住宅を移住希望者に長期間貸し出す事業を行います。12月25日から移住希望者向けにリフォームされた市内の10世帯について、順次募集を開始します。(取材・文=三浦徹)
静岡市の移住者向け住まい提供事業は、これまで市営団地を「おためし住宅」として移住希望者に2週間貸し出していました。しかし、期間をもう少し長くしてほしいとの声があったことから、期間を半年以上、最長2年まで延ばして行われます。
対象となるのは市内3つの団地ですが、それぞれ特徴があります。
清水区の清水船原団地は、5世帯が移住者向け住宅となります。市営住宅の中では比較的新しく、2LKD、3LDKと部屋が広いことや、公園が隣接していることから、家族向けの住宅となっています。
葵区の「羽衣団地」は1948年に建設された、日本最古の鉄筋コンクリート造の公営住宅であり、歴史的価値の高い団地で、3世帯が移住希望者向けの住宅に。このうち2世帯は、室内の食器棚などできるだけ当時の雰囲気を残したビンテージ感のある復元型住宅です。
駿河区の有東団地は1961年から建設が始まった「改良住宅」と1973年から建設が始まった「公営住宅」の合わせて21棟。管理戸数は516戸で、安倍口団地に次ぐ静岡市では2番目の規模の団地です。
今回、移住者向け住宅に選ばれたのは有東団地に8戸しかないレアな住宅です。それは1LDK+1Kのワークスペース付住宅で、もともとは別の目的で作られました。
●静岡市 住宅政策課 小澤映里係長:
「ペア住宅と呼ばれていて、もともと2世帯で住むことを想定した住宅です。親世帯と子世帯が別の住宅になっていて、ベランダで行き来できる構造です。玄関、台所、トイレは両方の住宅にありますが、風呂は片方の住居にしかないので、『母屋』と『はなれ』のようなつくりになっています」
ペア住宅は静岡市全体でも70戸しかないレアな住宅ですが、最近は2世帯で住む入居者も少なく、空き室が目立っていたということです。
●静岡市 住宅政策課 小澤映里係長:
「核家族化が進み、親子2世帯の住宅の需要はあまりなくなりました。そこで『はなれ』の1Kをワークスペースにして、ワークスペース付き住宅として移住希望者に貸し出すことにしました。リモートワークなどで住居と仕事場を分けたい人や趣味の作業スペースなど、住居とは別にプライベートスペースを確保したい人におすすめです」
それぞれの部屋はベランダで行き来できますが入口は別です。21号棟の移住者向け住宅は、玄関がそれぞれ別の階段を使用する形の不思議な作りです。この2部屋がつながっているとは想像できません。
●静岡市 住宅政策課 小澤映里係長:
「静岡市への移住を考えている人にも、家族構成や住みたい場所、暮らし方など、いろいろな条件があると思います。今回、市内3つの団地に移住者希望者向け住宅を設けていますが、それぞれの住宅に特徴がありますので、移住希望者のさまざまなニーズに対応できればと考えています」
移住者向け住宅は市営住宅とは別の扱いなので、家賃は市営住宅よりやや高めです。
・羽衣団地 月4万2000円程度(復元型) 未定(ワークスペース付)
・有東団地 月7万円程度
・船原団地 月5万6000円程度(2LDK) 月7万6000円程度(3LDK)
対象は静岡県外に住んでいる人のみ。収入面での条件等はありませんが、年齢や最低半年以上居住すること(貸付期間は2年未満)、自治会に加入することなどの条件があります。
対象となる10世帯の募集は12月25日から順次始まり、入居者の決定は本申請の先着順ということです。「静岡市に住んでみたい」という人は静岡市のHPをご覧ください。

