焼き台の上でほどける贅沢。ヒレとミスジ、そして甘やかな余韻へ 静岡市「プレミアムカルビ」
焼き台に置いた瞬間、表面がきゅっと締まる。その音が合図だ。静岡市駿河区にある「プレミアムカルビ 静岡曲金五丁目店」は、肉の火入れとデザートの完成度、その両輪で食事の流れを組み立てている。
まず外せないのが「特選牛ヒレステーキ」。店内で厚めに切り出されたヒレは、焼き過ぎを嫌う繊細な部位。表面に焼き色を付けてから、中心にゆっくり熱を通すと、繊維がほどけるように柔らかい。脂の主張は控えめで、噛むほどに赤身の旨味がにじむ。トリュフバターをのせれば、温度で溶けた香りがふわりと立ち、肉の輪郭に奥行きを与える。
対照的な満足感をもたらすのが「希少部位ひとくちミスジステーキ」。細かなサシが熱で溶け、表面は軽く香ばしく、中はしっとり。ひと噛みごとに脂の甘みと赤身のコクが交互に現れる。量は多くないが、その分、ひと口の密度が高い。
ここで視点を変えたい。「トントロ」にバジルソースを合わせる一皿だ。店内で仕込む生バジルのソースは、青い香りが鮮やかで、脂の強い部位を軽やかに引き上げる。焼き上がったトントロの表面はカリッと、中は弾力があり、そこに爽やかな香りが重なって後味を整える。
もう一つ、味わいの方向を柔らかくするのが「炙り豚すき焼きカルビ 3色月見とろろだれ」。軽く炙った肉を、とろろと卵のまろやかな層にくぐらせる。熱と粘度が混ざり合い、肉の角が取れていく感覚。甘辛さではなく、やさしく包み込む方向のすき焼きだ。
そして忘れてはならないのがデザートだ。専属パティシエが仕上げるケーキやグラスデザートに加え、自家製ジェラートは茶葉から煮出す工程を経るなど、細部まで手が入る。肉で高まった温度を、甘さと冷たさで静かに着地させる設計になっている。
焼肉という枠に収まりきらない構成力が、この店の芯にある。肉の質だけで押し切らず、香りや温度、質感の移ろいで一食を描く。気づけば、またその流れをなぞりに席へ向かいたくなる。
プレミアムカルビ 静岡曲金五丁目店
静岡市駿河区曲金5丁目5-10
電話番号:054-654-1129
定休日:なし
営業時間:【月~木】11:30~23:15(最終入店21:30)
【金・祝日前】11:30~23:45(最終入店 22:00)
【土・日・祝】11:00~23:45(最終入店 22:00)