鉄板の音と、とろける記憶。50年続くハンバーグの理由 浜松市「ぴぃぷる」

 鉄板にソースが落ちた瞬間、じゅっと音が立つ。その音に、思わず視線が引き寄せられる。浜松市浜名区細江町三和にある「ぴぃぷる」は、そんな何気ない一瞬を積み重ねてきた店だ。創業から50年。派手さではなく、手仕事の確かさで人を引き留める。
 看板はチーズハンバーグ。国産牛100%のタネに、細かく刻んだタマネギを練り込み、ナツメグと塩コショウで輪郭を整える。両面をしっかり焼きつけた後、とろけるチーズを重ね、さらに刻んだトマトをのせる。仕上げは熱々の鉄板とトマトソース。運ばれてきた瞬間に立ち上る湯気と香りが、食欲をまっすぐに刺激する。口に運べば、肉の旨味にチーズのまろやかさ、トマトの軽い酸味が重なり、単調にならない。

チーズハンバーグ(1700円)
チーズハンバーグ(1700円)

 流れを変えるなら、ハンバーグカレーという選択もある。ベースのカレーは鶏ガラからスープを取り、じっくり煮込んで仕上げる。辛さはやや強めで、スパイスの余韻がじんわりと続く。その上にハンバーグがのることで、肉のコクとルーの奥行きが一体となる。食べ進めるほどに味がなじみ、皿の終盤でまとまりが出てくる構成だ。

ハンバーグカレー(1540円)
ハンバーグカレー(1540円)

 和の一皿として外せないのが親子丼。静岡県産の鶏モモ肉に、地元の卵を合わせる。タマネギとゴボウを加えることで、甘みと香りに厚みが出る。卵は二つ使い、火を入れすぎずにとじることで、ふわりとした質感を残す。スプーンですくえば、卵のとろみと鶏肉の弾力が同時に伝わる。

親子丼(1210円)
親子丼(1210円)

 もう一品、少し趣向を変えた海老鍋ランチも面白い。エビフライを丼つゆで煮て、ゴボウやタマネギとともに卵でとじる。衣に染みたダシが、エビの甘みを引き立てる。揚げと煮る工程が重なることで、味に立体感が生まれる一皿だ。

海老鍋ランチは店長イチオシなんだとか
海老鍋ランチは店長イチオシなんだとか

 「ぴぃぷる」の料理には、特別な驚きはないかもしれない。だが、一皿ごとの手間と積み重ねが、確かな満足へとつながっている。気づけばまた、あの鉄板の音を聞きに戻りたくなる。そんな距離感で、今日もこの店は続いていく。

鉄板の音と、とろける記憶。50年続くハンバーグの理由 浜松市「ぴぃぷる」

ぴぃぷる
浜松市浜名区細江町三和106-1
電話番号:053-523-1916
定休日:木曜日
営業時間:9:00-20:00 L.O.19:30
水 9:00-17:00 L.O.16:30
Pあり