イカ墨の濃度で語るパエリアの実力 静岡市「トラビエソ」
この店では、まずパエリアを見ておきたい。静岡市駿河区さつき町にある「スペイン食堂Comedor Travieso(コメドール トラビエソ)」で軸になるのは、イカ墨のパエリアだ。
ベースとなるのは、ニンニクやタマネギ、ピーマンを炒めたソフリート。そこにヤリイカを加え、さらにトマトソースで旨味を重ねていく。加わるスープは魚介と鶏を合わせたダブルベースに、昆布や香草を重ねたもの。イカ墨はスペイン産を使い、全体の味を引き締める。
火入れは段階的だ。鍋の中で均一に沸騰させながら水分を飛ばし、その後オーブンで仕上げる。米は千葉県産のふさおとめを使用。粒の輪郭を残しながら、出汁をしっかり吸わせていく。仕上がりは濃厚だが、イカ墨特有のクセは抑えられ、ニンニクと出汁の旨味が前に出る。
このパエリアに対して、他の料理が広がりをつくる。前菜の盛り合わせは、新タマネギのフリットやイワシの酢漬けなど複数の小皿で構成される。野菜の甘みや酸味が、味の幅を補う。
トルティージャは、ジャガイモとタマネギ、卵で仕上げるシンプルな一皿。つぶしたものと形を残したもの、二種類のジャガイモを使うことで、やわらかさと食感の両方を持たせている。仕上げに削るチーズが、香りに厚みを加える。
アヒージョは、シラスと九条ネギを使った一品。ニンニクオイルの中で素材の風味を引き出し、塩気と甘みがバランスよくまとまる。バゲットと合わせることで、油と旨味を余さず楽しめる。
「スペイン食堂 コメドール トラビエソ」は、パエリアの完成度を軸に据えた店だ。一皿の中で組み立てられた出汁と火入れの積み重ねが、そのまま味として現れる。まずはこの黒い一皿から向き合うことで、この店の輪郭がはっきりと見えてくる。
スペイン食堂Comedor Travieso
静岡市駿河区さつき町4-15 静岡森下マンション101
電話番号:054-204-5129
定休日: 火曜日
営業時間:11:00-15:00 L.O.14:00
17:30-22:00 L.O.21:00
提携Pあり