富士山と駿河湾を結ぶ絶景航路が消える? 3年連続赤字でも地元は「絶対残してほしい」 駿河湾フェリー存続か廃止か 秋に「政治判断」 静岡県
西伊豆の観光を支える駿河湾フェリー。存続か廃止かの判断が今年の秋に迫る中、関係者からは存続を強く求める声が上がっています。
清水と西伊豆を結ぶ、“駿河湾フェリー”。駿河湾と富士山というロケーションで、非日常感を味わえる船旅です。18日からは21日に迫った、静岡県150周年の「県民の日」に向けて、県民限定で1000円割引になる、お得なキャンペーンも。しかし、駿河湾フェリーは今、大きな岐路に立っています。
静岡県 平木省副知事(6月):「現行のフェリー事業は、持続的な経営が可能か検証していく」
直近では3年連続で、6000万円近い赤字経営が続いています。昨年度は船の設備トラブルで2カ月間運休したこともあり、乗客数は1隻体制になった2009年度以降、過去最低のおよそ4万9000人にとどまりました。
鈴木康友知事は今年秋に運航継続の是非を含めた経営判断を行うと表明した中、駿河湾フェリーに突き付けられる、存続の意義とは…。
存続か撤退か迫る政治決断
現在は1日3往復運航している、駿河湾フェリー。取材した13日、お盆期間とあって、第2便には162人が乗船しました。
ふじさん駿河湾フェリー企画担当 野田邦洋部長:「きょうは車両がほぼ満車で、満員状態。普段の倍以上、乗船している」
清水港を出発し、土肥港まで、およそ1時間半の船旅です。
東京から
Q.どうして乗船した?
A.「景色がすごく良いので、天気が良ければ富士山が見えたら良いな。家族に見せたいと思って」
浜松市から
「子どもたちを船に乗せたくて。普段とは違う景色が見られるので、いい経験になるかなと」
子「楽しい~」
船が港を離れると、デッキからは駿河湾の大パノラマが広がります。この日はあいにくの空模様で、富士山は雲に隠れていましたが、晴れていれば駿河湾と富士山を一緒に楽しめます。そして、駿河湾フェリーならではの楽しみ方がもう一つ。船でしか食べられない「223(ふじみ)焼き」や「223(ふじさん)ばうむ」といった限定グルメも充実しています。(223焼き/300円 223ばうむ/1200円)
景色とともに、グルメも船旅の楽しさを広げてくれます。追加料金を支払えば、ゆったりとした座席で過ごせる「オーシャンルーム」や貸し切りの特別室が使って旅をグレードアップすることも可能です。(オーシャンルーム/大人片道1000円 貸切特別室/1万2000円~)
フェリーは、土肥港に到着。土肥温泉や土肥金山といった、観光地・西伊豆の“玄関口”でもあります。港から近い「テラッセオレンジトイ」では、海を眺めながら地元の食材を使った食事を楽しむことができます。(銭洲ムロミックス御膳/2980円)
そんなこちらの店、フェリーで訪れる観光客が3割から4割を占めるそうです。そのため、昨年度2カ月間運休した際には…。
テラッセオレンジトイ 鍵山友一統括:「食事の予約もあったので、影響は大きかった」
フェリーが、西伊豆の観光を支えていることを改めて感じたといいます。
テラッセオレンジトイ 鍵山友一統括:「ずっと長い歴史で海の交通があるので、利用している方もいるし、フェリーが存続すればありがたいと思う」
地元の思いは…
地元の観光協会からも…。
伊豆市観光協会土肥支部 山田伸次事務局長:「年間約8~10万人がフェリーを利用している。ひとつの交通機関が無くなることは(土肥の)イメージが悪くなる。地域が疲弊しているように捉えられる」
とはいえ、県や静岡市、伊豆市などの関係自治体が累計およそ16億円を支払い、その負担の上に、今の駿河湾フェリーが存続していることも事実です。検証委員会では、船のサイズダウンも含めて議論される見通しです。
岐路に立つ、駿河湾フェリー。操縦するのは、船長の長田憲司さん。7年前から、この船と苦楽を共にしてきました。運航が廃止となれば、慣れ親しんだこの航路ともお別れです。
Q.現状をどう思うか?
駿河湾フェリー 長田憲司船長:「率直に無くなってしまうのは悲しい。まだまだ県内の皆さんにも伝わっていない(魅力)がたくさんあると思うので、ぜひ一度乗船してもらい、ここでしか見られない景色・体験をしていただけたら」
果たして、駿河湾フェリーの存続は…。
鈴木知事の政治判断が注目される中、9月の県議会は、1カ月後に開会します。