こだわりのカツオ出汁が旬を目覚めさせる 藤枝市「和楽たすく」

 藤枝市青木で16年続く「和楽たすく」の料理は、毎朝引くカツオだしを頼りに、旬の食材と丁寧に向き合う。1人で静かに味わう客もいれば、夫婦や家族で訪れる人も多い、落ち着いた和食処だ。
 温かな「甘鯛の蓮根蒸し」では、だしが厚みを増す。焼津で水揚げされた甘鯛に、すりおろしたレンコンと卵白を重ね、蒸し器で約10分。甘鯛はふっくらと火が入り、レンコンはもちもちした舌触りへ変わる。仕上げの銀あんにはカツオだし、みりん、塩を使い、薄口しょうゆは香り付けに少量だけ。淡い味を重ねながら、魚とレンコンを銀あんで静かにつなぐ。繊細という言葉が、見た目ではなく調理から伝わる一品だ。

甘鯛の蓮根蒸し(1200円)
甘鯛の蓮根蒸し(1200円)

 「夏野菜の冷やし鉢」は、涼やかな盛り付けの奥に細かな仕事が潜む。野菜を一緒に煮るのではなく、1種類ずつだしで炊き、最後に同じ器へ合わせる。羅臼昆布は60~65℃ほどの低温にかけ、旨みを引き出してからカツオ節を加える。その量は、だし1リットルに対して3割ほど。濃いめに取るからこそ、味付けを控えたトマトにもカツオの風味が通い、オクラはお浸しのように仕上がる。素材によって調味を変えるため、器の中で味が一色にならない。

夏野菜の冷やし鉢(900円)
夏野菜の冷やし鉢(900円)

 「お造り盛り合わせ」は、当日の仕入れで内容が決まる。取材時には、ほどよく脂ののったミナミマグロの中トロ、焼津産のアジ、昆布締めのスズキが並んだ。アジは身の食感がしっかりし、スズキは昆布締めによって張りを残す。鮮魚を同じ食べ方でそろえず、それぞれに合う仕事を施して皿へ送り出す。

お造り盛り合わせ(1600円~)
お造り盛り合わせ(1600円~)

 意外な顔を見せるのが「生湯葉とカマンベールの茶碗蒸し」。カマンベールの皮と生湯葉の感触が似ていることから生まれた創作料理で、仕上げにはしょうゆ味のべっこうあんをかける。卵地の中で湯葉のやわらかさにチーズの芳醇な香りが加わり、親しみのある茶碗蒸しがぐっと豊かになる。一度食べて気に入る客も多いという。

生湯葉とカマンベールの茶碗蒸し(1200円)
生湯葉とカマンベールの茶碗蒸し(1200円)

 16年を重ねても、作り方を少し変えれば、新たなおいしさに気づくことがある。毎日が面白いと語る言葉からも、料理への探究心が伝わってくる。季節が巡れば、冷やし鉢の野菜も造りの魚も入れ替わる。次はどんな旬をだしで味わわせてくれるのか。再び暖簾をくぐる楽しみが、もうひとつ増えた。

こだわりのカツオ出汁が旬を目覚めさせる 藤枝市「和楽たすく」

和楽たすく
住所:藤枝市青木3-15-2 第2松浦ビル1階
電話番号:054-641-0071
定休日:水曜日
営業時間:18:00-23:00 / ※土日祝17:00~ / 日曜日のみ~22:00
共同Pあり