串に打った銀だらが香ばしく焼けるまで 三島市「粕漬食堂K.A.S.U」

 保育園の給食を担ってきた管理栄養士や栄養士、調理師に、腕を披露できる場所をつくりたい。そんな思いを持つ運営会社が2026年に店を引き継ぎ、再出発した。三島市日の出町、大場川のほとりに立つ「粕漬食堂K.A.S.U」は、粕漬けや米麹を使った定食を提供する。以前から使われてきた粕床も大切に受け継いだ。
 1番人気の「銀だら粕漬ランチ」は、サラダ、総菜の小鉢、季節の料理を添えた定食。粕床には酒粕、みそ、みりんなどを混ぜる。銀だらを漬け込んだ後は串に刺し、直火で焼き上げる。表面には香ばしい焦げ色がつき、身に箸を入れると、ぷりっと分かれる。内側はふっくらとやわらかい。粕漬けによって魚の臭みが抑えられ、酒粕由来の芳醇な香りとまろやかな甘みが銀だらに移る。白いご飯と交互に食べたくなる、店の看板にふさわしい味だ。

銀だら粕漬ランチ(2500円)
銀だら粕漬ランチ(2500円)

 魚とは異なる香ばしさを楽しめるのが、豚ロースの粕漬定食。粕床を少し残したまま網へ置き、焼き器で火を通す。酒粕によって豚肉の旨みと甘みが増し、肉質もしっとりやわらか。銀だらの上品な味とは違い、豚の脂と粕床の甘さがご飯を誘う。日替わりの野菜料理や、この日はニンジンとコーンなどを使ったかき揚げも添えられ、定食の中で無理なく野菜を取れる。

豚肉の粕漬定食(2500円)
豚肉の粕漬定食(2500円)

 発酵の力を揚げ物に生かした「鶏の米麹漬唐揚げ定食」もある。鶏もも肉を塩麹などと調味料を合わせた液にひと晩ほど漬け、米粉と片栗粉をまぶす。揚げ油には、保育園の給食づくりでも意識してきた体へのやさしさから米油を選ぶ。衣はカラッと軽く、肉は歯切れよく仕上がる。漬け込む手間が、鶏もも肉のやわらかさに結び付いている。

鶏の米麹漬唐揚げ定食(2200円)
鶏の米麹漬唐揚げ定食(2200円)

 もう1品の豚肉料理は「豚の米麹漬焼き」。米麹に漬けた豚肉を焼き、粕漬けよりもあっさりした味に仕上げる。香ばしい焼き上がりと、ジューシーな肉の食感を楽しめるため、酒粕の風味が得意ではない人にも選びやすい。

豚の米麹漬ランチ
豚の米麹漬ランチ

 三嶋大社周辺を訪れた観光客が、店を調べて立ち寄ることもある。食べた客から届くのは、「やさしい味」「癒される」といった声。子どもの体を考えながら給食を作ってきた経験が、観光の途中にも日々の昼食にもなじむ定食へ生かされている。川辺でひと息入れたい時、香ばしい粕漬けを目指して暖簾をくぐりたい。

串に打った銀だらが香ばしく焼けるまで 三島市「粕漬食堂K.A.S.U」

粕漬食堂K.A.S.U
住所:三島市日の出町6-35 2階
電話番号:080-2069-5340
定休日:日・月曜日 ※月曜日が祝日の場合は営業
営業時間:11:30-15:00 L.O.14:30
Pあり