8種類以上のキノコが、熱いあんの中で秋を深める 沼津市「中国料理 東王」
褐色のあんを箸で探れば、次々と違うキノコが現れる。やわらかなもの、歯応えを残すもの、つるりとしたもの。沼津市岡宮、沼津ぐるめ街道で50年以上続く「中国料理 東王(とうわん)」が秋限定で出すのは、キノコを脇役にしない熱々のラーメンだ。会社員から家族連れまで幅広く訪れる老舗が、この時季ならではの山の幸を中華の技で食べさせる。
季節限定の「秋のきのこたくさんラーメン」には、少なくとも8種類のキノコが入る。青果店の仕入れによっては、さらに2種類ほど増えることもあるという。シメジ、シイタケ、マイタケ、エノキに、白と黒のキクラゲなど、香りも歯触りも異なる素材をそろえる。しょうゆ味のあんへ加え、10~15秒ほど煮てキノコのだしを引き出す。短時間でも種類が多いため、それぞれの旨みが重なり、あんにも秋らしい深みが加わる。
土台になるのは、豚骨と鶏ガラを半分ずつ使った澄んだ清湯スープ。そこへキノコ入りのしょうゆあんをかけ、広東風タンメンに仕立てる。とろみが熱を逃がしにくく、最後まで温かい。すすればキノコの風味がスープと一緒に届き、かみしめるたびに食感が変わる。毎年楽しみにする客が多いというのも納得の、秋を丸ごと閉じ込めた一杯だ。
グランドメニューから秋を探すなら「マーボナス」。店では通年扱っているが、ナスがおいしくなる秋には改めて注文したい。ナスへさっと火を通し、ひき肉やネギと合わせる。味付けはしょうゆを基本に、豆板醤とニンニクを効かせたピリ辛。加熱した秋ナスはやわらかくなり、濃いめのたれをよく含む。白いご飯と一緒に頬張りたくなる、町中華らしい力強さがある。
「シャケレタスチャーハン」には、脂がのる秋の銀ジャケを使う。細かくほぐした身は卵やご飯と一緒に炒め、大きめの身は完成後に上へ。レタスを加えるのは、出来上がるわずか数秒前だ。東王のチャーハンは、ぱらぱらではなくしっとり系。卵をまとったご飯に銀ジャケの塩気が入り、最後に加えたレタスのしゃきしゃき感が単調さを防ぐ。半ラーメンは昔ながらのしょうゆ味で、チャーハンの相棒としてよくなじむ。
ランチで人気の「レバニラ野菜いため」は、ニラとレバーだけではない。その名以上に具だくさん。ニラとキャベツに、タケノコ、シイタケ、ニンジン、レバーを合わせ、強い火でさっと炒める。下味を付けたレバーは臭みを抑え、驚くほどやわらかい。豆板醤とニンニクを少量加え、野菜の食感を残したまま香りよくまとめている。
秋の味覚は、和食だけのものではない。キノコはあんかけ麺へ、銀ジャケはしっとりしたチャーハンへ、旬のナスは豆板醤を利かせた炒め物へ姿を変える。東王が50年以上続けてきた中華の技にかかれば、いつもの食材にも別の食べ頃が生まれる。季節限定の丼から湯気が上がる間に、沼津の秋も少しずつ深まっていく。
中国料理 東王
住所:沼津市岡宮1248-3
電話番号:055-921-6228
定休日:木曜日
営業時間:11:00-14:30 L.O.14:00 / 17:00-21:30 L.O.21:00
Pあり