低温が引き出す白衣のとんかつと親子丼の奥行き 浜松市「とん唐てん」

 浜松市中央区高林に店を構える「とん唐てん」。親子丼ととんかつを二枚看板に掲げ、開店から13年。開放的でモダンな空間に、揚げ油の静かな泡音が心地よく響く。店名は「とんかつ」から“てっぺん”へ昇り詰める願いを込めたもの。言葉遊びに見えて、志は真っすぐだ。
 まずは「湖西市産とこ豚ポーク ひれかつ定食」。素材は湖西育ちの“とこ豚”。くさみのない澄んだ肉質、赤身と脂の均整が持ち味だ。衣に使うのは低糖度のパン粉を2種ブレンド。油は100%純正ラード。そして温度管理がこの店の肝。一般的な高温一気ではなく、100℃前後からじっくりと火を入れ、最後に140℃まで段階的に上げていく。切り分ける刃が立てる軽やかな音。白くきめ細かな衣の内側には、しっとりとしたヒレが潜む。歯を入れれば繊維がほどけ、旨みが静かに広がる。

湖西市産とこ豚ポーク ひれかつ定食(2189円)
湖西市産とこ豚ポーク ひれかつ定食(2189円)

 ロース派には「特吟とんかつ定食」。1頭から3人前しか取れない希少部位を使う。まずは岩塩で。脂の甘みが輪郭を帯び、舌の上で透明に溶けていく。

特吟とんかつ定食(3069円)
特吟とんかつ定食(3069円)

 もう一つの柱が親子丼だ。こちらでは御前崎産の遠州地鶏一黒軍鶏を使っている。シャモ肉は一度炙り、半生の状態から弱火でゆっくりと火を通す。鍋底に卵の層を作り、その上にとろりとした卵を重ねる二層仕立て。弾力を残しつつ柔らかな肉は、噛むほどに滋味がにじむ。途中で薬味を添え、白湯スープをかければ親子茶漬けへと姿を変える。丼の終盤に訪れる、もう一幕の楽しみだ。

一黒軍鶏匠み炙り親子丼(1749円)
一黒軍鶏匠み炙り親子丼(1749円)

 さらに、低温で揚げる「大海老フライ定食」も控える。しっとりとやわらかな身は、驚くほど穏やかな甘みを湛える。

大海老フライ定食(2310円)
大海老フライ定食(2310円)

 白い衣のとんかつと、親子丼。てっぺんを目指すにふさわしい組み合わせだ。

低温が引き出す白衣のとんかつと親子丼の奥行き 浜松市「とん唐てん」

とん唐てん
浜松市中央区高林2-8-30
電話番号:053-474-3335
定休日: 水曜日/第1・3日曜日
営業時間:11:00~14:00/17:30~21:00
P16台