気取らずに続く四半世紀の食卓 富士市「ザック」
富士総合庁舎(富士市)のほど近くにある「Food&Bar Zack」。店名は“ざっくばらん”に由来し、肩肘張らず過ごせる場を目指してきた。創業から25年、200種類を超える酒とジャンルに縛られないフードを揃え、料理と酒をきっかけに人が集まる場として続いている。
その中で長年支持されているのが、鶏の唐揚げだ。下味にはハーブソルトやニンニク、ショウガなど10種類ほどのスパイスを使い、24時間以上寝かせる。時間をかけて味を入れることで、外側の衣だけでなく、肉の中までしっかりと旨味が行き渡る。揚げ上がりは外がカリッと、中は水分を保ったままジューシーに仕上がる。シンプルな料理だが、積み重ねてきた技術が出る一皿だ。
一方で、その日の仕入れによって表情を変えるのが、産地直送の生ガキ。例えば岩手県赤崎産のものは、身がふっくらと大きく、噛めば濃厚な旨味が広がる。レモンやポン酢を合わせることで、味の輪郭が際立つ。こうした“変わる一品”を置くことで、通い続ける楽しみも生まれる。
地元食材に目を向けた一皿が、長谷川農産のマッシュルームのフライ。細かいパン粉で揚げることで、衣の主張を抑え、素材の香りを前に出す。噛むと肉厚な食感とともに、旨味がじわりと広がる。そこに合わせるワサビ入りのタルタルが、後味に軽い刺激を加える。
しっかり食べたいときには、豚のデミソース煮込み。香味野菜とともに下茹でした後、自家製のデミグラスでさらに煮込む二段階の火入れ。時間をかけることで繊維はほどけ、箸でも崩れる柔らかさになる。ソースのコクが肉の内部まで入り込み、味に一体感が出る。
唐揚げのように変わらないものと、カキのように変わるもの。その両方を同じ場所で成立させてきたことが、25年続く理由だ。気取らずに入れて、気づけば長く居る。そんな時間の積み重ねが、この店のいちばんの味になっている。
Food&Bar Zack
富士市本市場町919
電話番号:0545-60-3488
定休日:水曜
営業時間:18:00-25:00(L.O.24:00)
Pあり