ガーリックバターから仔羊のローストまで、気軽に分け合うフレンチ 静岡市「シェ・オクス」
フランス料理と聞くと、少し構えてしまう人もいる。だが、静岡市葵区鷹匠にある「ワイン居酒屋 シェ・オクス」は、皿を分け、ワインを飲みながら楽しむ店だ。1986年の開店から40年。人宿町、駅南を経て、現在の鷹匠へ。26歳で店を開いたオーナーシェフの巴山玉珠さんが、今も厨房に立つ。
「フォアグラのソテー」は、調理そのものは潔い。両面を焼き、ソースをかける。切ると表面はカリッとし、中はふわっとほどける。合わせるのは、ブランデー漬けのチェリーを使った少し甘めのソース。濃い脂に果実の甘みをぶつけるのではなく、やわらかく添わせる。単品でフォアグラを食べられる店は多くない、という店主の言葉にも頷ける一皿だ。
ブルゴーニュ風の定番「エスカルゴ」は、パセリ、ガーリック、バターをたっぷり使う。小さなココットに入れてオーブンで焼くと、熱で溶けたバターに香味が移る。口に入れる前から、ガーリックとパセリの香りが先に届く。身は独特の弾力があり、貝とも肉とも違う噛み心地。ワインを呼ぶ前菜として、実にわかりやすい。
開店当時から続く人気メニューが「キッシュ」。フランスのカフェでも定番の惣菜だが、ここではサクラエビをたっぷり入れる。サクサクした生地の上に、なめらかな生地が重なり、エビの風味がしっかり出る。巴山さんは「濃厚なグラタンパイみたい」と表現するが、たしかに卵料理というより、熱い惣菜を切り分けて食べる満足感がある。
「ズワイガニとホタテのタルタル」は、酒場らしい軽さを持つ。ズワイガニとホタテを細かくし、薬草の利いたドレッシングで和える。ホタテの食感、カニの風味、ソースの香りが混ざるが、重くはならない。肉料理へ向かう前に、こういう冷たい一品が挟まると、テーブルの流れが整う。
肉で締めるなら「仔羊の骨付ロースト」。仔羊の表面を焼き、粒マスタードをのせ、香草パン粉を重ねてオーブンへ入れる。中はほんのりピンク色のミディアム・レア。ナイフとフォークで食べてもいいが、骨付きならではの楽しさは、手で持ってかぶりつくところにある。マスタードの辛みが脂を切り、香草パン粉の香りが肉に重なる。格式ではなく、食べる喜びに寄せたフレンチだ。
シェ・オクスの良さは、料理を小難しく見せないところにある。エスカルゴもフォアグラも仔羊も、皿の上では本格的だが、食べ方は気楽でいい。何品か頼んで分け、ワインを注ぎ、骨付き肉に手を伸ばす。40年続いてきた店には、そうやって食卓をほどく力がある。
ワイン居酒屋 シェ・オクス
住所:静岡市葵区鷹匠2-10-7 パサージュ鷹匠2階
電話番号:054-255-7551
定休日:火曜日 / 水曜日のランチ
営業時間:11:30-13:30 / 17:30-23:00
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