味噌は炒めない。香りを逃がさず仕上げる濃厚な一杯 清水町「柿田川ひばり」

 味噌ラーメンといえば、中華鍋で野菜と味噌を炒め、香ばしさを立たせる店も多い。「柿田川ひばり 清水町店」は、その手順を取らない。味噌を炒めず、丼の中で熱いスープと合わせる。大切にするのは、火を入れすぎれば薄れてしまう味噌本来の香りだ。清水町八幡で8年続く味噌ラーメン専門店には、1人で訪れる女性から年配客まで、幅広い世代が暖簾をくぐる。
 看板の「ひばり味噌こってり」は、豚骨と鶏を2対1ほどの割合で使い、最低でも5~6時間煮込んだスープがベース。八丁味噌や東京みそなど約5種類をブレンドし、店独自の香油と背脂を加える。味噌の濃い風味へ動物系スープの厚みが加わるが、山椒や一味による軽い辛みもあり、後味を引き締める。

ひばり味噌こってり(950円)
ひばり味噌こってり(950円)

 麺は「浅草開化楼」の特注品。中太のちぢれ麺で、噛むともちもちした弾力がある。縮れの間に濃厚なスープが入り、麺だけをすすっても赤味噌の風味がしっかり届く。

特注の麺がすべてを受け止める
特注の麺がすべてを受け止める

 常連客がよく頼むのは、赤い「旨辛味噌」。豆板醤、ゴマ油、デスソースを合わせた旨辛のもとでスープを辛くし、肉みそをトッピング。仕上げにカイエンペッパーを振る。口に含むと味噌の甘さが先に現れ、後から強い辛みが迫る。暑い夏には注文が減るかと思いきや、最も辛いものを選ぶ客が多かったという。汗をかきながら食べる熱さと辛さも、この一杯の醍醐味だ。

旨辛味噌(1100円)
旨辛味噌(1100円)

 白い丼は「特製担々麺」。白味噌を中心にブレンドした味噌へ、練りゴマとすりゴマを合わせる。さらに豆乳を加えることで、ゴマのコクを残しながら口当たりはまろやかに。上からラー油をかけ、穏やかなスープへピリッとした刺激を添える。赤の強烈な辛さとは異なり、白味噌とゴマの甘みを楽しみながら食べられる。

特製担々麺(1200円)
特製担々麺(1200円)

 汁なしで味噌の濃さを堪能するなら「濃厚味噌混ぜそば」。ベースは味噌ラーメンと共通するが、スープを少なくし、麺へたれと具材をしっかり絡める。中太麺を持ち上げるたび、濃い味噌だれがまとわりつき、スープのある一杯とは異なるパンチを見せる。麺を食べ終えた後には追い飯が付き、器に残った具材とたれも最後まで味わえる。

濃厚味噌混ぜそば(1150円)
濃厚味噌混ぜそば(1150円)

 「味噌と香油が決め手」と店は言う。辛さを足しても、ゴマや豆乳を重ねても、汁なしに変えても、根にある味噌の存在は揺らがない。東京・恵比寿へ店を広げた現在も、清水町の丼で守るのは同じ香りだ。湯気の中から赤味噌が立ち上る瞬間、炒めないという選択の意味が伝わってくる。

味噌は炒めない。香りを逃がさず仕上げる濃厚な一杯 清水町「柿田川ひばり」

柿田川ひばり 清水町店
住所:清水町八幡221-1
電話番号:055-960-7800
定休日:月曜日、第2・4火曜日
営業時間:11:00-15:00 L.O. / 17:30-20:30 L.O.
Pあり