10人来れば9人が注文、写真に収めたくなる唐揚げ 静岡市「来来軒」
大きさに驚き、まず写真を撮る。静岡市清水区折戸、三保街道沿いの「来来軒」では、初めて鶏唐揚げ定食を目にした客から、そんな反応が返ってくるという。創業から50年以上。午前中は会社員、夜は近隣の学生が多く訪れ、昔ながらの店構えで腹いっぱいの料理を出し続けている。ご飯の量も一般的な店より多め。学生に満足してもらいたいという思いが、盛りのよさに表れている。
断然の人気を誇るのが「鶏唐揚げ定食」。10人来れば9人が頼むほどで、1人前に鶏もも肉を丸ごと1枚使う。かつては7個盛りだったが、1個を大きくして現在は5個。店主の石和秀美さんは、味付けにコショウを一切使わない。素材の持ち味を大切にし、香辛料でごまかさないためだ。160℃の油で中までじっくり揚げた後、刻みネギをのせ、ゴマ油をひと振り。大ぶりの肉へネギとゴマ油の香ばしさが加わり、白いご飯を呼び込む。
「レバニラ炒め定食」は、レバーが苦手な人にも食べやすいよう工夫する。一般的なものよりレバーを細く切り、油通ししてから野菜と炒める。味付けは砂糖、しょうゆ、酒とシンプルで、少し甘め。レバーと野菜にたれがよく絡み、独特の風味を穏やかにする。ボリュームはありながら、素材を生かすという唐揚げと共通した考えがうかがえる。
午前中は、半数以上の客が「半チャンラーメン」を注文するという。ラーメンは、昔ながらのあっさりしたスープ。組み合わせるチャーハンは、しっとりとした仕上がりだ。目新しい仕掛けより、ラーメンとチャーハンを一度に食べられる安心感が勝る。長年通う客の日常に溶け込んだ、町中華の王道である。
もう一品添えるなら餃子。キャベツを多めに使い、一般的な餃子よりひと回り大きい。焼けた皮はパリッとし、中にはジューシーな餡。野菜の割合が多いため、量感があっても食べ疲れしにくい。定食だけで十分なはずなのに、店へ来たら外せないと感じさせる。
50年を超えて愛されてきた理由を、流行の言葉で飾る必要はない。会社員の昼を支え、学生の腹を満たし、初めての客を唐揚げの大きさで驚かせる。来来軒が守ってきたのは、町中華らしい味だけではなく、遠慮なく食べられる量まで含めた満足感だ。
来来軒
住所:静岡市清水区折戸505-4
電話番号:054-334-1968
定休日:月曜日
営業時間:11:30-14:00 / 17:00-20:00
Pあり