熱海土石流災害で崩落した土地の所有者が熱海市長に10万円の支払いを求めた訴訟 静岡地裁沼津支部は原告の訴えを棄却
熱海土石流災害で崩落した土地の現所有者が、斉藤栄熱海市長に損害賠償を求めた裁判で、静岡地裁沼津支部は現所有者の訴えを棄却しました。
現所有者の男性は斉藤市長に対して、措置命令を出さなかったことで土石流が発生し、土地の価値が失われたとして土地の購入代金3億円の一部である10万円の支払いを求めていました。
18日午後静岡地裁沼津支部で判決があり、寺本昌広裁判長は現所有者の訴えを棄却しました。
判決理由で寺本裁判長は「公務員が故意または過失によって他人に損害を与えた場合、公共団体に賠償責任があり、公務員個人は責任を負わないとするのが相当」と判断しました。
さらに傍聴者に対して「本件は公務員個人の責任の成否について判示したもので、熱海市の損害賠償責任の成否について判示したものではない」と異例の説明をしました。
遺族らが熱海市などにおよそ64億円の損害賠償を求めている裁判とは別であることを、強調する意図があったとみられます。
判決について現所有者側の代理人は「自治体の首長は免責されるとの国家賠償法の規定によるもので、いわば門前払いの判決。斉藤市長の責任については、すでに別の訴訟が係属中のため、その中で追及していく所存である」とコメントしています。
一方、熱海市長側は「代理人から報告をまだ受けていないため、現時点でお答えできることはございません」としています。