【熱海土石流から4年】被害拡大の原因となった「違法盛土」を監視する静岡県の「盛土監視機動班」の活動を追う

2021年7月3日、28人が犠牲となった 熱海土石流から 間もなく4年です。6月30日から3回に渡り特集をお送りします。1回目は熱海土石流でも被害拡大の原因となった「違法盛土」の監視などを行う静岡県の「盛土監視機動班」の活動を追いました。
静岡県沼津市の山中。
市民からの通報があったというこの盛り土。
雨の中、高さを測るための棒や計測器を使い、盛り土を調べているのは静岡県の「盛土監視機動班」です。
静岡県庁西館6階にある「盛土対策課」。
熱海の土石流災害のあと、新設されました。
静岡県盛土対策課 岩本仁志課長
「今盛土対策課には正規の職員として19名います。行政職のほかに土木職員、建築の職員、それから農業土木、林業、それから警察の職員、いろんな各部署の職員が集まって仕事をしております。」
ここで違法の疑いがある不適切な盛り土の調査などを専門に行うのが「盛土監視機動班」です。
面積がおよそ1500平方メートルあり、森林法や市の土砂条例違反が確認された沼津市石川の盛り土。
「監視機動班」がドローンで上空から写真を撮影し、新たに土が盛られていないか調べます。
静岡県内での違法な盛り土は157カ所あり、定期監視の対象となっています。
この現場には機動班が3カ月に1回訪れ、パトロールしています。
盛土監視機動班 職員
「今ある盛り土が危険な状態になっていないか、現地踏査をして確認しています。盛り土にクラック(亀裂)が入っていないかとか、湧水が起こっていないか、それによって大規模な崩れが起こらないか確認しています。」
5月から県内でも始まった盛り土規制。
新たに造成された盛り土には厳しい規制がかけられます。
例えば、違法な盛り土の底辺の面積の基準は、以前は県の盛土条例で1000平方メートル超でしたが、新しい規制では500平方メートル超とより厳しくなりました。
違法と判断された場合、土地所有者や盛り土事業者に最大3年の懲役、または1000万円以下の罰金が科されます。

「次どちらですか?」
「一カ所盛り上がっているところ」
「茶色いところですか?」
「うん」
機動班はこの日の最後に、最近増加しているという畑などでの盛り土の現場に向かいました。
坂井剣一郎記者
「盛り土は通常山の中で見つかりやすいということですが、ここでは田畑での一角でも見つかったということです。盛り土の部分だけ異様に浮き上がって見えます」
盛土監視機動班 職員
「盛り土事業者または、盛り土を仲介する者が土砂を処分する場所を探していて、田んぼの土をかさましするということで、ただで土を入れてあげるけどと話しをもちかけて、それを聞いた土地所有者はただであればということで土砂を受け入れることを了承してしまったことで、こういう状態になってしまったということが推測されます」
新たな盛り土の規制を守ろうと、県に問い合わせる業者が多い一方、不適切な盛り土はまだまだ見られるということです。
静岡県 盛土対策課 岩本仁志課長
「不適切盛り土っていうのは最終的に撲滅したい。やはりこれをゼロにするっていうのはなかなか簡単ではない。新たに不適切盛り土がなされないようにパトロール、あるいは盛り土110番など設置して、一般の県民の方々の情報を日々受け取るよう体制を取っております。」
