姉のひで子さん「弟・巌に代わって無実を主張します」 罪状認否で巌さんに代わり出廷 【速報 袴田事件再審初公判】
1966年旧清水市で一家4人が殺害された事件で、死刑が確定した袴田巌さんの再審=やり直しの裁判が静岡地裁で始まりました。中継です。
林輝彦アナウンサー
袴田巌さん(87)の再審公判は午前11時2分に開廷しました。袴田さんは出廷を免除されていて、冒頭、検察官が起訴状を読み上げた後の罪状認否では、袴田さんに代わって出廷した姉のひで子さん(90)がまっすぐ裁判官を見据え、「再審裁判で弟・巌に代わって無実を主張します。真の自由をお与えくださいますようお願い申し上げます」と時折、涙ぐみながら訴えました。そして、その後深くお辞儀しました。
袴田さんは1966年、旧清水市でみそ会社専務一家4人が殺害された事件で死刑が確定しています。姉のひで子さんはけさ、浜松市の自宅を出る際、取材に応じ、次のように話しました。
姉のひで子さん:「やっと始まる。57年闘ってきてやっと再審開始になりましてね。望むことは真実を望むということ。巌は無実だから無罪ということを望んでおります」
裁判は地裁で2番目に広い法廷で開かれていて、一般傍聴席26席に対し、280人が列を作るなど注目度の高さを示していました。
再審の争点は事件発生1年2カ月後に現場近くでみそタンクから見つかった「5点の衣類」に付いた血痕の色です。袴田さんの犯行着衣と一度は認定され、死刑判決の最大の根拠とされています。
弁護側は「長期間みそにつかった状態では血痕の赤みは消える。証拠はねつ造されたもの」と主張しています。
一方、検察側は「赤みが残る可能性はある」として、5点の衣類は袴田さんが犯行時に着ていたものと有罪立証の方針を維持しています。
公判は当初、来年3月末に結審する想定でしたが、弁護団によると証拠の取り調べに時間を要す見込みで、結審は来年4月にずれ込むとみられています。
現在、検察の冒頭陳述が行われているとみられ、午後は弁護側検察側双方の証拠調べ請求などが行われる予定です。
戦後、死刑が確定した事件で、再審が開かれるのは今回で5例目です。過去4例の再審で検察は今回と同様、有罪を主張しましたが、いずれも無罪が確定しています。袴田さんにも無罪が言い渡される公算が大きくなっています。
以上静岡地裁前からお伝えしました。