袴田巌さん「無罪判決」から1年 姉のひで子さんが明かした“変化”とは

いわゆる「袴田事件」のやり直し裁判で、袴田巌さんに「無罪判決」が言い渡されてから26日で1年です。姉のひで子さんが明かした“変化”とは。
袴田巌さん、89歳。真の自由を手に入れた“あの日”から26日で1年です。
◆姉・ひで子さん:
「巌は無罪になったってことね死刑囚でなくなって本当にありがたいと思っている」
◆白鳥衛記者:
「無罪です。無罪です」
2024年9月26日。旧清水市のみそ会社専務一家殺害事件のやり直しの裁判で静岡地裁は無罪判決を言い渡し、袴田巌さんの『無罪』が確定しました。
◆袴田ひで子さん:
「あんたが勝った。あんたの言う通りになった。わかる?ね、あんたの言う通りになったのよ。裁判長さんが無罪だって。これでもう終わったでね。安心しな」
無罪判決から3日後、袴田さんは初めて公の場に姿を見せました。
◆袴田巌さん:
「私が袴田巌でございます。無罪勝利という待ちきれない言葉でありましたが、無罪勝利が完全になりました」
はっきりと「無罪勝利」と口にしました。
無罪判決から1年、袴田さんには“ある変化”があったといいます。
◆姉・ひで子さん:
「『もう死刑囚じゃなくなったよ』って言ったのが効いたのか、外へ出て皆さんが良かったねって言っていただくでしょ。その雰囲気をつかんでいるのね。だいぶ明るくなりましたね。表情が良くなった、柔らかくなった」
「死刑囚」から「一般市民」へ。選挙権も44年ぶりに回復しました。
◆姉・ひで子さん:
「自分の好きなものを書きなと言った。巌も名前ぐらいは自分で書けるもんだから。選挙権というのは大きなことだから(市民生活の)第一歩だと思っている。死刑囚でなくなったことを認識させる」
ただ、長い拘置所生活の影響により、袴田さんはいまだ現実と妄想の世界を行き来しているといいます。
◆姉・ひで子さん:
「拘禁症はもう治らんだろうが、なるべく軽くなるようにね、だから巌を自由にしておくのが一番の薬だと思う。巌のなすがままにして生活してるの」
近頃は足腰の弱さが目立つようになってきたという袴田さん。ただ、日課の「パトロール」はかかしません。
◆袴田巌さん:
「闘いに勝てばそれでいいってことですね」
半世紀以上にわたる闘い。再審法には証拠開示の規定がなく、無罪に繋がる証拠が表に出てきにくいのが現状です。
◆姉・ひで子さん 講演会:
「58年闘ってまいりました。再審法に不備があることは間違いありません。巌だけが助ければ良いと思っていません」
再審法改正を訴える92歳は、この1年間、全国各地でマイクを握りました。その回数は40回に及びます。
◆姉・ひで子さん:
「真実を求めて頑張っていけば、無罪になるということを巌が証明しているんです。何年も(冤罪で)苦しんでいる人たちのためにも、再審法改正はぜひ実行してもらいたい。みんな励みにしていると思うんですね、それに応えるように私は行動したい。まだ私は元気だから頑張ってきたい。命ある限り頑張っていくつもり」
事件をめぐる刑事裁判は終わっても、「袴田事件」はまだ終わっていません。弁護団は、袴田さんが長期間精神的苦痛を受けたとして、6億円を求める国家賠償請求訴訟を来月9日に提訴する方針です
