28人死亡の熱海土石流から5年 「伊豆山に戻りたい気持ち」は変わらないが…責任認めぬ行政に募る不信感 母親の無念を晴らすための闘いは今も
土石流に巻き込まれ母親の鈴木チヨセさんを亡くした息子・仁史さん。自宅が被害をうけ、現在は静岡県三島市に住んでいます。
当時、自宅にいたチヨセさんと仁史さん。様子を見るために仁史さんが1人で外へ出た後、自宅を土石流が襲いました。
●鈴木仁史さん:
「結局そこで母が一人になって。がれきの中に閉じ込められるような感じになってしまったので、もう最初から母を連れ出すなり、引き返すなりできていれば、そもそもあんな死に方をさせなくてよかったと思って。そのことはすごく残念には思っています」
5年経ってもなお、かつて住んだ伊豆山に「戻りたい気持ち」は変わらないと言いますがー
●鈴木仁史さん:
「熱海に、伊豆山に戻りたいという気持ちを持って暮らしてはいるんですけど、なかなかちょっと家の再建のめども立っていない状態なので帰りたいという気持ちは持っています」
遺族や被災者らは県と市、土地の所有者らに対して損害賠償を求める裁判を起こしています。
裁判では、県に対しては違法な盛り土を適切に管理していなかった責任を、市に対しては適切な避難情報を発令していなかった責任を追及しています。
裁判を傍聴した仁史さん。土石流の原因となった土地の所有者らが違法な盛り土を造成してきたことへの怒りとともに感じたのは、行政への失望でした。
●鈴木仁史さん:
「実際に県なり市なりの職員が証言しているところを傍聴して、何か口裏合わせをして、もう自分たちに責任はないみたいなことを言っている姿を見て、本当に腹立たしいですね」
裁判で市の元職員は「盛り土が安定していたことなどから、住民に危害が及ぶ認識がなかった」と主張。
当時の県の担当者も「盛り土が規制対象の面積を超えた明確な根拠がなく、県に指導の権限はなかった」と証言しています。
今年3月には遺族として仁史さんも証言台に立ち訴えました。
●鈴木仁史さん:
「人災だったと一番訴えたかった」
責任を認めない県や市に対して募る不信感。
●鈴木仁史さん:
「盛り土をした業者、現在の所有者、そして熱海市、静岡県。そういった人たちには自らの非を認めて、責任をとっていただきたいなと」
3日、熱海市が開いた追悼式にも出席しませんでした。
●鈴木仁史さん:
「熱海市にも土石流の責任はあるだろうと私は思っているので。そういう人たちが開く慰霊式について、ちょっと違うんじゃないかなと」
裁判は、今年度中に判決が言い渡される見通しです。
母親であるチヨセさんの無念を晴らすための闘いは、5年たった今も続いています。