なぜ!?熱海市の土地が急上昇 観光需要の回復だけではないその理由とは

最新の地価調査で熱海市は静岡県内で商業地の価格が最も上昇したエリアとなりました。そこには観光需要の回復だけではない理由がありました。

栗田麻理アナウンサー:
「熱海駅から徒歩2~3分ほどの場所にあるここが、県の地価調査の基準地だそうです。1㎡あたりの基準地価が22万円となりました。前の年と比べて2万6000円上がったそうです。」

 最新の地価調査(今年7月1日時点)の結果によると、熱海市は静岡県内で最も土地の価格(商業地)が上昇したエリアであることが明らかになりました。

 例えば、玄関口でもある「JR熱海駅周辺」の田原本町では、前の年に比べて13.4%、銀座商店街のある銀座町では12.9%地価が上昇しています。

 なぜ、熱海の地価は急上昇したのか!?

 その秘密を探りました。

駅前の商店街には平日にも多くの観光客が

 熱海市・仲見世商店街(先月26日)

不動産鑑定士 河口健さん

栗田麻理アナウンサー:
「熱海市内で最も地価の上昇率が高いここ、田原本町を不動産鑑定士の河口さんと一緒に回っていきます。河口さん、よろしくお願いいたします。」

不動産鑑定士 河口健さん:
「よろしくお願いいたします。早速行きましょうか。」

栗田麻理アナウンサー:
「駅に近いということもあって土産店が多い。」

不動産鑑定士 河口健さん:
「とても賑やかな通り。」

栗田麻理アナウンサー:
「午前10時半だが多くの観光客がいる。」

不動産鑑定士 河口健さん:
「そうですね。ここから昼に向かってもっと増えてくる。」

 熱海駅前の商店街には平日にも関わらず多くの観光客の姿が。

 観光地「熱海」というブランド力だけでなく、

 近年ではSNSなどをきっかけにして新規出店したスイーツ店などに若者が殺到。

 こうした背景もあり、熱海の観光客数は急激に回復しています。

 熱海駅前の仲見世商店街で、温泉まんじゅうを販売する店でも、熱海の再ブームを実感しているようです・・・。

丹那屋 磯 聖幸代表:
「我々もコロナ禍を経験していて、観光地としては厳しい時期でした。コロナの収束の雰囲気になってからは若い客や外国人の方が大勢来ている。やっぱり昔からの観光地なので、観光客に愛されるようなそういった町であれば、まだまだ発展していけるのかなと感じている。」

河口不動産鑑定事務所 不動産鑑定士 河口健さん:
「コロナが落ち着き、多くの観光客の人が熱海に来てくれること。これから先も多くの方が来てくれることを期待するホテル業者やマンション業者や、そういったディベロッパー(開発業者)の方々が熱海の将来が有望であると。そういったことをみて、熱海に積極的に投資をしてくれているといったことが大きな理由だと思う。」

熱海駅前の商店街

熱海市内はホテルの建設ラッシュ

現在、熱海市内では各地でホテルの建設ラッシュが続いています。

 ところが、新しく建設されるものばかりではありません。

 2018年 熱海市 ホテルニューアカオ

 2018年の台風12号による高波によって大きな被害を受け、さらに新型コロナの影響で、おととし、48年の歴史に幕を下ろした「ホテルニューアカオ」。

 熱海市 ホテルニューアカオ(7月)

 今年7月に、都内の企業が運営を引き継いだ形で、リニューアルオープンしています。

河口不動産鑑定事務所 不動産鑑定士 河口健さん:
「今はやはり日銀の異次元の金融緩和政策が持続してきて、それによって金利が低い水準にある。それによって、資金調達環境がものすごくいい。そういった状態が続いてきたことでお金が余って、そういった余ったお金をどこか投資をする対象として、土地にお金が向かった。土地に向かうとしても、あらゆる土地に投資が行われるのではなくて、限られた選ばれた地域に投資が行われる、そういった状況にある。熱海がその投資対象として選ばれたことが大きな動きになっている。」

 熱海市では今、ニューアカオのように日本の企業だけではなく、アメリカや中国系の投資家たちも続々と宿泊施設への不動産投資をおこない始めているといいます。

 地価の上昇は、景気の良さを表す「バロメーター」とも言われていて、「観光の街・熱海」が今後は「不動産投資の街・熱海」という側面も持ち合わせていくのかもしれません。

河口不動産鑑定事務所 不動産鑑定士 河口健さん