【リニア】南アルプス生態系保全に関する調査費用などに1億円計上 川勝知事「保全は国際的義務」 静岡県
13日に発表された静岡県の来年度当初予算。一般会計の総額は1兆3160億円となりました。JR東静岡駅南口に建設が予定されている「新たな県立図書館」の事業費に9億円あまり。さらに、教育や子育てに対する支援に総額922億円が充てられるなど、“未来への投資”とも言える予算が目立ちます。
南アルプス関連で1億円余り計上
こうした中で、南アルプスの生態系保全に関する調査費用や南アルプスの魅力を発信する費用などに来年度、1億円余りを計上。今年度と同じ規模の予算となりました。
今の静岡県にとって、この南アルプスと切っても切り離せないのが、リニアをめぐる動きです。県は来年度、環境保全の会議費用などで2600万円ほどを計上しています。
斉藤国交大臣「JR東海が着実に実行するか、確認のための態勢準備」
一方、斉藤国交大臣は13日の記者会見で、川勝知事と国交省の鉄道局長が面会したことについて言及しました。
斉藤鉄夫国交大臣:「水資源および環境保全につきまして、報告書で整理された対策をJR東海が着実に実行していくことが重要であることを踏まえ、国土交通省としてそれを確認するための新たな体制を準備している、その旨を説明させていただいたところでございます」
7日の面会で川勝知事が高い評価を示したのが、水資源と環境保全のために新たな有識者を集めるということ。これについては。
斉藤鉄夫国交大臣:「JR東海が静岡工区における水資源と環境保全の両分野について行う対策の状況を継続的にモニタリングするための新たな有識者会議を開催したいと考えていて、委員の選定など調整を速やかに進めてまいります。モニタリングを国としても行うということで、しっかり進めていきたい」
南アルプスの環境保全の議論は進んで行くのでしょうか? 7日に行われた川勝知事と国交省との面会では、リニア問題について改めて国が関与していくことが示されました。
国交省 村田茂樹鉄道局長:「引き続き国としてもリニアのプロジェクトに関与していきたいと考えていて、県におかれましても、この報告書を踏まえてJR東海との対話を進めていただきたいと思っている」
国の有識者会議の報告書に川勝知事が反発
いわゆる「静岡問題」については数年にわたって国の有識者会議で議論が交わされ、「水」と「環境」2つのテーマについてすでに報告書が出されています。ところが…。
静岡県 川勝平太知事(去年12月):「有識者会議では残念ながら十分に議論されずに解決されないまま報告書を取りまとめられた」
議論は十分でないと知事が反発。さらに静岡県側は5日、会見を開きました。
静岡県 森貴志副知事:「47項目の評価としてこのような数字を出した。一応終了したものがない」
このように説明し、リニアをめぐる47個ある問題うち、30個はまだ解決に至っていないとの認識を示しています。
静岡県 川勝平太知事(7日):「新しい体制を立ち上げると、大変興味深い話でこの辺りを少し聞きたい」
県側の会見の2日後に行われた国交省との面会では、国が新たなプロジェクトの立ち上げを示唆しましたが、環境問題をめぐる動きは事実上平行線のままとなっています。
静岡県 川勝平太知事:「委員会のメンバーが明らかになってくると性格が見えてくる。どういう方が座長を務めるのかもある」
Q.少しは進展する?
A.「これは進展させないといけないでしょう。国家的事業だと国交省も関与していると、村田局長がビシっと言われた」
川勝知事「南アルプスの保全は国際的義務」
そうした中で注目を集める「南アルプス」に関する予算。13日の会見で川勝知事は…。
静岡 川勝平太知事
Q.南アルプスの関連事業費に1億円余りが入っている。県として南アルプスの保全は、どのような姿勢で取り組んでいきたい?
A.「昭和30年代に、(南アルプスを)国立公園に認定している。従って南アルプスの自然を保全するということは、国策である。ですから国策で国際的責務であるという意味で、南アルプスを預かっている本県において大変重視している。
Q.リニア問題を含めて全国的に南アルプスが注目されている。知事としてはどのように魅力を発信して、正しい理解を全国に広めていきたい?
A.「南アルプスの持っている希少性、特に本州で唯一3000m級で、いろんなものが垂直に多様に分布している唯一の所だから、ここはそういう情報を正確に知っていただくための発信をいろんな方々を通して発信していきたい」
(2月13日放送)