全国初! 砂浜を「海岸保全施設」に 景勝地・「三保の松原」を守る取り組み 静岡県
富士山を望む景勝地。世界文化遺産・富士山の構成資産のひとつでもある三保の松原。この三保の松原の砂浜を守るために全国初の動きがありました。
世界文化遺産・富士山の構成資産のひとつ「三保松原」。
日本三大松原とも呼ばれるこの景勝地に隣接する砂浜を、静岡県は23日、海水による浸食から海岸を守る施設、「海岸保全施設」に指定しました。
全国で初めてという、この取り組み。
その狙いとは。
静岡県河川海岸整備課 杉山一仁課長
「こちらの杭と、あちらに見える人が立っているポールまでの間、幅として73mの奥行になります。それと、あちらにまた人が立っています。こちらが長さ、南北方向に200mの範囲ということになっています。」
「海岸保全施設」に指定されるのは、三保松原に隣接した砂浜。
近くには、羽衣の松などがあります。
一般的には、「海岸保全施設」とは、波消しブロックや、水門、護岸など、高波や高潮などから海岸を守る施設のことを言います。
指定されると、災害で施設が被害にあった際、国から復旧費の補助を受けられます。
都道府県が、砂浜を「海岸保全施設」に指定するのは、全国で初めて。
その目的は…。
県河川海岸整備課 杉山一仁課長
「国と相談しながら今回、砂浜を維持していく目的で(海岸保全施設に)指定した。」
三保半島は、静岡市内を流れる安倍川から流れ出た土砂が堆積してできた半島です。
しかし、およそ70年前に、コンクリートの材料として
安倍川の砂利が採取されるようになると、海に流れ出る土砂が減りました。
のちに安倍川での砂利採取は規制されましたが、航空写真を比較すると、河口の東側で、砂浜が消えてしまっているのが分かります。
そこで、砂浜が減るのを防ぐために、海岸には「波消しブロック」が設置されました。
ところが…。
2013年に三保松原が、世界文化遺産の構成資産に登録されると、今度は、「波消しブロック」が「景観上好ましくない」と言われるようになりました。
そこで設置されたのが、「L型突堤」。
大きなコンクリートの固まりを、海中に固定することで、波消しブロックと同じ役割を果たし、水面から見える部分も、4メートルから1メートルへと少なくなりました。
県河川海岸整備課 杉山一仁課長
「現在はコンクリートのブロックを、少しずつ取り除いて、景観から下げるような取り組みをして、富士山の良好な景観、海岸事業(保全)を両立した取り組みを進めているところ」
景観を維持しつつ、砂浜を守る。
県は、土砂の管理とともに、砂浜自体がもつ波消し機能を生かすことで、将来的には構造物によらない海岸保全を目指しています。
ON 県河川海岸整備課 杉山一仁課長
「長い期間がかかっているが、大事な事業なので、砂浜を守っていきたい」
世界文化遺産登録から10年。
三保松原の「保全」が改めて注目されています。