視覚障害のある静岡県の職員とともに盲導犬が県議会の委員会に出席 審議中足元で静かに待機
2日開かれた静岡県議会の常任委員会に、県の職員が初めて盲導犬と一緒に出席しました。
久須美舞記者
「県庁の企業局です。職員らが勤務する中、こちらの男性の足元ではラブラドールレトリバーが横になっています」
およそ3週間前から盲導犬と共に静岡県庁で働く経営課の岩本多加臣さん(55)。
大学卒業後の23歳に県の職員となった岩本さんは、35歳のころ視野が狭くなったり、視力が低下したりする難病網膜色素変性症と診断されました。
次第に症状は悪化し、4年前からは白杖がないと1人で歩けなくなりました。
静岡県経営課 岩本多加臣さん
「この辺が見えている。(周りは)消えている。盲導犬ということ以上に、心の支えといったらあれだが、何かしら支えてくれる。いやしになるので、ちょっと仕事に行き詰った時にも、ここにいるから触って」
県庁で働く職員の中で唯一の盲導犬ユーザーの岩本さん。
1日から始まった県議会の産業委員会に、初めてパートナーのカドル君(2)を連れて質疑の説明補助員として出席しました。
委員質問:
「能登半島地震における水道管等の復旧支援活動について伺います」
1879年の県議会創立以降、傍聴以外で現在の議場や委員会室に盲導犬が入ったことはありません。
2日は岩本さんの発言する場面はありませんでしたが、
質疑が行われる中、カドル君はおよそ1時間40分の間、岩本さんの足元で静かに目をつぶって過ごしました。
静岡県経営課 岩本多加臣さん
「机の下のスペースで静かに待機していてくれた。最初から最後まで。それがしっかりできたことがうれしい。私も仕事に集中できたので大変助かった」
関係団体によりますと、県内では28頭の盲導犬が活動しています。
一方で、県内で視覚障害の手帳を持つ人は3月時点で、7571人います。
静岡県経営課 岩本多加臣さん
「私も何回も諦めかけたが、盲導犬と出会ってこれから何ができるかということは、本当に何ができるかわからないが、何かしていきたいなとは思う」
県職員の障害者雇用率は2.65%で、県は「引き続き職員の障害の特性に応じた支援をしていきたい」としています。