川勝知事から鈴木知事へ2024年の静岡県政は大きな転換期に 2025年の静岡県政は…
15年続いた川勝知事から鈴木知事に代わり、大きな転換期を迎えた静岡県政。「地域対決」の構図となった知事選を経て、来年鈴木カラーはどこまで強まるのでしょうか。
川勝平太知事(当時) 4月2日:
「6月の議会をもって、この職を辞そうと思っております」
新年度が始まって2日目の電撃表明でした。
辞職に追い込まれたきっかけは、その前日新入職員に向けた自らの発言です。
川勝平太知事(当時) 4月1日:
「毎日毎日野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたり、あるいは物を作ったりだとかいうことと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い人たちです」
任期を1年残した中で、15年続いた川勝県政は突然の終幕を迎えました。
地域間戦争となった知事選
鈴木康友知事:
「立候補前は浜松の鈴木康友であり、西部の鈴木康友でした。今は静岡県の鈴木康友へと脱皮をしようとしています。(拍手)」
大村慎一氏:
「この静岡の各地域の力を結集して、力を合わせて前に進むときが来たんです。だからオール静岡なんです」
史上初めて、静岡市と浜松市の出身者による、事実上の一騎打ちとなった知事選。
鈴木知事誕生の原動力となったのは、浜松での圧倒的な支持でした。
静岡産業大学・客員教授 大村慎一さん:
「急に始まった選挙だったので、非常に決断するのには勇気がいるものだったが、やはり時間が足りなかったなということは感じる」
それでも、知名度で勝る相手に7万7000票差まで迫りました。
知事選から7カ月。
元副知事の大村慎一さんが静岡朝日テレビの取材に答えました。
静岡産業大学・客員教授 大村慎一さん:
「地域分断ではなくて、各地域の力を結集するということを目指して選挙に出たので、結果的に得票は地域でかなり分かれたということは残念だったなと思う」
「地域対決」の構図となった知事選。
市町別の得票数を見れば、それは一目瞭然です。
井柳美紀教授:
「もっと政策論争が本来ならあった方が良かった。(知事は)今後、行財政改革を真剣に取り組んでいきたいと言っているが、そこが争点としてきちんと十分に議論されていたかというと、必ずしもそうではないのではないという気がしていて、選挙戦としては地域性が前面に出すぎた選挙だったということは、後になってみると課題が残ったという気はしている」
自民党浜松 柳川樹一郎市議:
「県知事としてここにおられる康友さんをぜひとも押し上げていきたい。これが“浜松人としての使命”じゃないかなというふうに思っております。」
“地域対決”の色合いが濃くなる中、大村さんを推薦した自民党も一枚岩とはいかず…。
鈴木知事の地元・浜松では、一部の自民党市議が鈴木知事の支援に回りました。
自民党を離党 柳川樹一郎市議:
「私は浜松から県知事を生むんだという思いの中で行動しただけであって、この人なら県知事にふさわしいと思った。(鈴木知事は)伊豆も中部もちゃんと平等に、まだ浜松にはさほど手が差し伸べられているという感じはないが、それなりに公平感を持ってやっているんじゃないかな」
2025年の鈴木県政は
“地域対決”の末に誕生した、鈴木知事。
就任直後、職員に強調したのはこの言葉でした。
鈴木康友知事:
「巧遅拙速。なんだそりゃということでありますけど。巧みで遅いよりも多少荒くてもスピード感を持った方がいい。スピード感を持って、皆さんと 一緒に仕事をしていきたい」
その「スピード感」は、“リニア問題”でも…。
就任から2週間で、JR東海の丹羽社長とトップ会談を開き、岸田前総理とも面会。
川勝県政から、ガラッと風向きが変わりました。
鈴木康友知事
「今後はこうした課題を一つ一つスピード感をもって克服していくと同時に、このリニア開通に伴う様々な本県としてのメリット、例えば東海道新幹線の利便性が向上するというようなことにつきまして、今後JR東海さんとも対話を推進していきたいというふうに思っております」
井柳美紀教授:
「鈴木知事は全体の印象としては、安全。スピード感を重視しているが、安全運転でもあったと思う。議会との関係、あるいは市町の首長との関係、あるいは地域間のリーダーの違いといった、いろんな対立につながりかねないようなものについて、対立につながらないような形で気を遣っていたのかなという印象を持っている」
“スピード感のある安全運転”で、大きな問題や混乱はなく、新しい年を迎えようとしている鈴木県政。
静岡産業大学・客員教授 大村慎一さん:
「まだ半年なので、ご自身のカラーとか特色をあまり前面に出されているわけではないのかなと思う。これから具体的な政策で何をされていくかということが重要だと思うので、東部・伊豆にはいろんな課題があり、地域特有の課題があるから、そういうことにどういうふうに向き合っていただくかということだと思う」