【特集】子どもが考えたデザインが製品になる! 静岡市の地場産品をテーマに子どもの夢を実現するコンテスト
多くの地場産品がある静岡市では、地場産品をテーマに子どもの夢を実現するコンテストが2003年から行われています。2025年の審査結果が3日発表され、応募作品の中から特別賞などが選ばれました。(取材・文=三浦徹)
「しずおか『夢』デザインコンテスト」は、静岡市内の小学3年生から6年生を対象に「あったらいいな」と思う地場産品のアイデアを募るコンテストです。
このコンテストは静岡の地場産品の振興を目的に静岡信用金庫(当時)などが2003年に始めました。参加者は家具や仏壇、プラモデルなど、静岡の地場産品の15の分野から作品を考え、デザイン画で応募します。
●杉山明博審査委員長(静岡大学名誉教授):
「プラスチックや木工など、静岡ほど地場産業が多岐にわたっている県はない。地場産業を盛り上げるという意義と、地場産業をベースにした新しい発想を子供たちから応募してもらうことで、将来花開くであろう想像力の種をこどもたちにまいていくことがこのコンテストの大きな目的です」
今回は静岡市内70の小学校から3620点の応募がありました。審査会で特別賞10点、優秀賞20点、地場産業奨励賞30点がきまります。
![商品化された「おでん落とし」](https://look.satv.co.jp/wp/wp-content/uploads/2025/02/d3cc346e0515d4d919f63379fc24b9d1-scaled.jpg)
入賞者には副賞として図書カードなどが贈られますが、このコンテストの最大の特徴は特別賞10点に選ばれると実際に製品になるという点です。
●杉山明博審査委員長(静岡大学名誉教授):
「実際に製品を作るんですよ。それは静岡市だからできることで、ほかのところではこんなことはできない。ただ独創的すぎると製品化しずらく現実的にできないデザインもあります。その場合は特別賞ではなく、別の賞を受賞するケースもあります。地場産業育成ということがあるので現実化できる10点を選んでいます」
これまでの特別賞の中では、5つの作品が実際に商品として発売されています。
![2024年の特別賞「ミカンのじしゃく」](https://look.satv.co.jp/wp/wp-content/uploads/2025/02/d4b5d032deafd5cc4e8ee7b30aa1af27-scaled.jpg)
12月20日、静岡市駿河区では審査会が行われました。地場産品の職人やデザイナーなど6人の審査員は作品の中から気に入った作品にふせんをつけていきます。
そして多くのふせんが貼られた作品を中心に審査します。みなそれぞれお気に入りの作品があり、なかなかまとまりません。
ユニークな作品として注目されたのは大塚理人さんの「石げた」。駿河塗下駄をベースにした下駄ですが、石の模様で、見た目は石でできた下駄です。
●審査員:
「ここがぼこぼこして指圧になるの?足裏マッサージ?」
「違います。これは絵が石になっているんですよ」「重そうに見えるね」
「石垣模様?」「漆か?」「塗下駄です」「面白い」「石みたいな感じ」
駿河塗下駄の分野では、票を集めた作品がこのほかにも一つありましたが、議論の末、大塚さんの「石げた」が特別賞に選ばれました。
![「石げた」のデザイン画](https://look.satv.co.jp/wp/wp-content/uploads/2025/02/7c33b6b5a917a8ab943b0792cf2f44c7-1.png)
●杉山明博審査委員長(静岡大学名誉教授):
Q選ばれるポイントは
「面白さとか新しさ。子供たちが見た視点の新しさ。今までの生活がこの1つによって変わっていく。そういう面白さを狙っています」
そして3時間にわたる議論の末、候補作が選ばれました。
最後に審査委員が気にするのが、「すでに製品化されているか」という点。同じようなものがすでに製品化されて販売しているケースもあるということで、審査員はネットで慎重に検索していきます。
そして最終的に10作品が特別賞に選ばれました。
●杉山明博審査委員長(静岡大学名誉教授)
Q今年の作品は?
「なかなか面白い。日常生活の中で面白さを発見していくという、そういう視点が子どもたちの中にうまれている。何年もやっている成果は出ている」
受賞作品が決まり、通常ならコンテストはこれでいったん終了ですが、ある意味で実はここからがスタート。子どもたちが紙で書いたものを実際に製品化しなければいけないからです。それぞれの地場産業の職人さんが、発案者の小学生とタッグを組み、数か月かけて製品づくりが行われます。こどもたちの描いたデザイン画がどのような製品になるのか? 職人さんの腕の見せ所です。
![審査にも熱が入る](https://look.satv.co.jp/wp/wp-content/uploads/2025/02/1893785001cc18537c9a4f6999890d73.jpg)
特別賞に選ばれた作品は下記の通り。
・戎 桃愛さん(森下小)「しずまえチェス」
・大塚理人さん(清水有度第二小)「石げた」
・小泉健人さん(清水船越小)「富士ごま」
・小山みのりさん(横内小)「トイレの兵隊」
・佐伯一花さん(清水庵原小)「しずおかパレット」
・立花世愛さん(静岡大学附属静岡小)「日本のお風ろにみちびくよ」
・長澤朱里さん(南部小)「竹千筋細工かどっちょ洋服かけ」
・前田はなさん(清水入江小)「うなぎけんだま」
・吉川萌々さん(清水飯田小)「ぐるぐる空中ブランコ」
・脇 玲美奈さん(安東小)「茶そばを食べよう富士山漆器」