「イワシだらけでシラスは1匹もいない」 駿河湾の特産品「シラス」が不漁 前向きな材料も…

駿河湾の特産品である「シラス」。豊漁から一転、漁業関係者からため息が漏れています。
●能地優アナウンサー:
「午前8時半の田子の浦港です。あちらの食堂開店1時間前なんですが、もうすでに列が出来ています」
ゴールデンウィーク真っ只中のこの日。静岡県富士市にある、田子の浦港の食堂にできた列。そのお目当ては―。
●長野から男の子(9歳):「おいしい」
●沼津から(子ども):「一番おいしい」
●奈良から(男性60代):「感無量です」
●地元住民(女性80代):「並んだかいがありました。 最高!」
そう、駿河湾の名産、シラスです。田子の浦で水揚げされるシラスは臭みや苦みが少ないのが特長とされ、県外にはなかなか出回らない逸品です。このシラス丼を目当てに、多くの人が訪れていたのです。
ゴールデンウィーク期間は、通常より1時間前倒しの開店に。それでも、わずか4時間の営業で、この日訪れた人は、なんと、およそ1200人!
しかし、大盛況の食堂に、例年とは異なる、ある異変が…。
●長野から:「生シラスが山になっている日本一丼が…」
漁協食堂の名物と言えば、生シラスがたっぷりと盛られたどんぶり。しかし、この生シラスが今年のゴールデンウィーク期間は、提供できなくなっていたのです。
4月、食堂が営業を始めたときには提供されていた生シラスですが、その後、不漁が続いていました。
けさ、シラス漁に出漁していた船を取材すると…。
●漁師:
Qきょうの水揚は?
「網を使っていない、きょうは。 行ってドライブして帰ってきた」
●漁師:
「連休があって期待したけど、ダメだったね」
きょうは16隻がシラスを求めて出港しましたが、水揚げはゼロ。大半の船が網すら入れずに、港に戻っていました。不漁の理由は…。
●田子の浦漁業協同組合 芹澤 豊 筆頭理事:
「イワシだらけで、シラスは1匹もいない」
数少ない網を投げた船で取れたのは…、ほとんどが“イワシ”。
●田子の浦漁業協同組合 芹澤 豊 筆頭理事:
「親が脅かしちゃうもんで、(シラスは)子どもでしょ。食べられちゃうこともあるし、怖気ついていなくなっちゃうんですよね」
このところ、イワシの群れがシラスの漁場にいることが不漁の一因だといいます。けさの状況を踏まえ、あすのシラス漁は行わないことを決めました。
駿河湾の特産である、シラス。水揚げが振るわないのは、田子の浦だけではなく焼津市の大井川港も同じです。ゴールデンウィーク中に開催した「大井川港朝市」でも、イベントで恒例の、当日水揚げした生シラスの販売が中止となっていました。苦境が続くシラス漁。好転する兆しはあるのでしょうか…。
●田子の浦漁業協同組合 芹澤 豊 組合長:
「(きょうは)海水温が17℃ちょっとですよ。18℃~20℃ぐらいになってくると、カタクチ(イワシ)の親も海に出ていくもんで 5月20日前後ぐらいに(シラスが)出ていきますね」
現在の不漁の一因となっているイワシも、実は、前向きな材料だといいます。
●田子の浦漁業協同組合 芹澤 豊 組合長:
「ここ2~3年不漁だったでしょ。その時じゃカタクチのイワシも来ませんでした。親がいるということは産卵するでしょ。そうするとシラスが出てくるんじゃないかなと思っています」
