富士山閉山期の遭難に地元市長激怒…「タクシー呼ぶように救助要請」「救助は命がけ」 2市長が『救助有料化』主張 静岡・富士宮市 山梨・富士吉田市
冬季閉鎖中の富士山登山道。山頂につながる道は気候条件が厳しく、遭難のリスクが高くなるため、万全な準備をせずに登山することを禁止しています。4月には、実際に遭難事故も起きました。

遭難した4日後にまた遭難
都内に住む27歳の中国籍の大学生が、アイゼンをなくして下山できないと自ら通報。消防ヘリが出動し、救助されましたが、その4日後にも同じ中国人男性が遭難しました。最初に遭難した際に携帯電話を忘れたため、再度山頂に向かったものの、体調不良で下山できなくなり、再び救助されました。

静岡・富士宮市長「富士山を軽く甘く見ている。救助は命がけ」
こうした事態を受け、ある議論が巻き起こっています。
静岡・富士宮市 須藤秀忠市長:「救助に行くほうは大変なのです。その辺のところ、富士山を軽く甘く見ている。その命がけの救助の気持ちを考えないで、2回も同じような時期に遭難する中国人がいる。救助の費用たるや莫大なものになるわけですよ、(その費用は)遭難者負担にすべきじゃないかと思っている。要するに自己責任だと」

静岡・鈴木知事「国にしっかり検討してほしい」
須藤市長は、県にも対応を要請する考えを示しています。
静岡・鈴木康友知事
Q.須藤市長が富士山における閉山期の救助の費用について個人で負担すべきという考えを話されたが、知事はこれについてどう考えている?
A.「これは富士山も対象ですけど、全国的に色々な事案があるので、(登山者などが)ルールを無視した時の遭難・救助費用の自己負担などについて、その在り方について国の方でしっかり検討していただくのがいいのではないか」

山梨・富士吉田市長「スマホで気軽に救助要請する風潮」
閉山中の救助費用は自己負担にすべきとの主張は、山梨側からも…。
山梨・富士吉田市 堀内茂市長:「もうまるでタクシーを呼ぶかの如く、スマホで気軽に救助を要請するような風潮が目立っている。県警ヘリコプターを救出のために出す、これは多大な金額がかかります。燃料費等を含めても60万〜80万円かかるというケースも多々ある。これらの費用も全て県民の税金から賄われるわけでありますので、趣味や道楽で登って危険をあえて承知で登っている人たちをなぜ公費で救う必要があるんだ」

埼玉県は条例で防災ヘリ出動で手数料徴収
2010年、埼玉県秩父市で、遭難者の救助にあたっていた防災ヘリが墜落し、5人が亡くなる事故が発生。ヘリによる救助活動を有料化する議論が起こります。

埼玉県では条例を改正し、一部地域で、防災ヘリで救助した場合、手数料を取ることに。料金は5分につき、8000円。3時間飛行した場合、28万8000円になります。
他の対策も強化しているため有料化の成果とは一概には言えないといいますが、条例の施行前に比べ、山岳救助の件数は大きく減少しています。富士山での救助費用の負担について、今後議論は進むのでしょうか。

山梨・富士吉田市長「静岡県側と力合わせ」
山梨・富士吉田市 堀内茂市長:「富士宮の市長、静岡県側と力を合わせて、今後このことに対しては強く県、また国にも訴えていきたい覚悟でおります」
