米農家「なぜこんなに上がるか疑問」 一方で厳しい状況続く農業の現場 静岡・富士市

 コメの価格は、高止まりが続いています。静岡市のスーパーを覗いてみると国産のブランド米は5キロで4000円前後となっています。

ヒバリヤ 山岸達也執行役員:「去年に比べたら2倍くらい。厳しい状況になっています」

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店頭には「米国産米」も

 そんな中、国産のものよりも1割ほど安く売られていたのはアメリカ・カリフォルニア産のお米「カルローズ」です。

ヒバリヤ 山岸達也執行役員:「売れ行きがすごいいいってことはない。他の商品よりにぶいですが、他の商品がなくなると需要が出てくる」

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お米専門店「例年のように確保できない」

米店店主 又平宗一郎さん:「うちでは5キロ4200円。問屋さんに聞いても例年のように確保できない。農家もお米がなくて、お米の確保が一番苦労しています」
 

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 こちらのお店でも品薄状態が続き、種類によっては在庫がなくなってしまったものもあるそうです。販売はひと家族10キロまでに制限しています。

米店店主 又平宗一郎さん:「備蓄米が今回放出される分から、米店にも回ってくるという話があって、卸会社からも早ければ来月(6月)にも届けられると聞いているので、大変期待しています。皆さんがお求めやすい価格で販売できればなと思ってます」

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米農家は…

 コメ不足が続く中、県内でも田植えのシーズンがやってきました。

伊地健治アナウンサー:「富士市の浮島地区にきました。芝生のようなものは全てお米の苗。あちらで作業している方が米農家の高橋さんです」

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 元々富士市の職員だった高橋梓さん。5年前から専業の農家として米作りを継いでいます。今週から田植えが始まりました。

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Q.この苗はどのぐらいの広さの田んぼの苗?
A.「ここにあるのがだいたい1000枚分。これが1枚分で、1枚で100㎡ぐらい植えます。田んぼは16~17ヘクタール、東京ドーム3~4個分ぐらいあります。家族でやっています」

 家族経営のやまたか農場では、コシヒカリとミルキークイーンという2種類の米を栽培。収穫から乾燥、精米まで行い、契約した家庭へ直接販売しています。

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Q.あれお米ですか?
A.「契約した客の分の在庫です」
Q.じゃぁ、ここにあるのは契約済み?
A.「そうです。定期的に渡しています。毎月5キロの人もいれば、10キロの人も。決まった日に届けてます」
Q.袋に「ふくしまの米」と書いてありますが?
A.「外向けに出す米ではないので、袋はリサイクルを利用しています」

 細かなところにも経費削減の工夫がありました。

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「なぜこんなに上がるのか疑問」

 去年までは5キロ2500円でしたが、燃料費や資材費の高騰のため今年に入り3500円に値上げしました。去年収穫したお米はおよそ100軒の注文がありすでに完売。髙橋さんは現在の価格の高騰には疑問があると言います。

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米農家 高橋梓さん:「何がどうなって、そこまでの金額になっているのかな、という疑問はありますね。ほとんどの農家は、新米がとれた時に集荷業者に全量出しています。その時の価格を考えると、なぜ今上がっているのだろうと。一農家としてはあの価格で出したのに、なぜこんなに上がるのかなと疑問に思っています。これが適正価格なのかっていうのは疑問」

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米作りの現場

 そんな高橋さんの田んぼを見せてもらいました。こちらは田植え機です。

米農家 高橋梓さん:「この田植え機は買って3年目、450万円前後する。機械の更新代が農家にとって大きな課題となっていて、その分の収入がないと買えない」

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 周りでは米作りをやめる人が多く、そんな農家から田んぼを引き継ぐことも多いそうです。栽培面積はこの5年で倍以上に広がっています。そんな大きな面積で栽培をするには機械は欠かせません。

伊地健治アナウンサー:「田んぼ1枚をおよそ1時間で植えるそうです。ああいった機械がないと到底できないし、気の遠くなる作業です」

 高橋さんはおよそ1カ月かけて、すべての田んぼに苗を植えていきます。秋の収穫までおよそ4ヵ月。天候に左右されながら大切に育てていきます。伊地アナも田植えを体験させてもらいました。

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伊地アナも田植え機を体験

高橋さん:「植わってる植わってる。機械がいいのですごく楽に運転できるようになった」

伊地健治アナウンサー:「初めて田植え機乗ったんですけど難しかった。少しでもまっすぐじゃなくなってくると、それだけ幅が開いちゃう。植えられるのに植えないと、もったいないという気持ちがあるから、どうしても密に植えたいって思う。そうすると、また曲がってきちゃうんですね。こうして1本1本の苗が植えられてお米になって、私たちの手元に届くまでどれだけの手がかかっているのかって思う」

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田んぼから足が抜けずアタフタ

 高橋さんは毎年、お客さんを招いて、田植えの体験イベントを開催しています。

高橋さん:「じゅって土の中に埋めるだけでいいです。列の間に足を置いて、その間に植える感じなんですけど」

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 田植えを体験した伊地アナ、ちょっとしたトラブルも。

伊地アナ:「足が抜けない」
高橋さん:「かかとから抜いてください、抜けた抜けた」

高橋さん:「農業を体験してもらって農業をやりたい子を増やしたい。あとは親子で楽しめる場所を提供したい」

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 こうして端正込めて作った高橋さんのお米を。おにぎりにして食べさせてもらいました。

伊地アナ:「高橋さんが作ったミルキークイーンのおむすびです。塩むすびです。すごいツヤツヤしてますね。かなりもっちりしていますね」

高橋さん:「食感はもちっと柔らかく、甘みが強いのが特徴です」

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生産者「やっと適正価格に」 この値段続くと米離れも

 消費する私たちは米の価格が落ち着くことを期待しますが…。

高橋さん:「生産者、消費者の2つの立場で考えている。生産者からすると、やっと適正価格になってきている、と。経費とか人件費が上がっきている中で、機械の更新など費用を考えると、いまくらいの値段じゃないとやっていけないという計算にはなってきます。消費者の立場からすると、米離れになる。そうすると、たくさん作っても売れないから生産量を減らせって問題になる。あまり値段が上がるのもよくない」

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伊地アナ:「適正価格じゃない時はどうしていた?」

高橋さん:「ギリギリの生活をしていた。機械を買えないので修理修理修理。機械が壊れたらやめるという高齢の方が多い。実際、壊れたのでやってくれと頼まれることが多い」

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「一番の問題は担い手不足」

伊地アナ:「日本の米作りは、どうしていけばいいのか?」

高橋さん:「今、一番難しい問題は担い手不足。農家になりたいという若手を増やすのが一番大事だと思う。何が一番の原因かというと、設備投資が大変、儲からない、つらい、そういう農家のイメージを払拭しなきゃいけない。そうすると安定供給にも繋がってくると思う」

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