賛成派「コストも安い」「市民の6割賛成」 反対派「防災上の懸念」「渋滞の悪化」 どうなる?三島市役所建て替え問題【後】

伊地健治アナウンサー:「中心市街地にある、今の市役所の場所からおよそ1キロ離れたところにある南二日町広場という場所です。こちらには、人工芝の広いサッカーコートがありますね。こちらにも、広い土のグラウンドがあります。否決された条例案では、三島市役所はこの場所に移転して、新しく建設するというものでした」
新たな市庁舎の建設候補地は、今の三島市庁舎から900m離れた南二日町広場。新市庁舎は5階建て。老朽化に伴う建て替えという理由のほか、現在3か所に分散している市役所の機能を集約化する狙いもあります。

移転賛成議員は
市庁舎を南二日町に移転・建て替える条例案に賛成する議員に、お話を聞きました。
秋山恭亮議員(賛成派)
「どうしても、もう古くなってきてしまったなという感じは拭えないですね。もし、市庁舎で大震災などが起こった時に、100%市民と職員の安全を守れるのかというと、私としては心配」
Q.賛成の理由?
A.「昨年行われました、市民アンケート、これで6割以上の方が賛成というふうに、南二日町に移転した方がいいよという意思表示をされた。これは、大きなことなのかなと考えてます」

市民アンケートでは6割以上が「移転」
昨年、三島市は市庁舎の建て替え問題に関し、市民1万人にアンケートを実施。南二日町に市庁舎を移転、建て替える、南二日町広場案、今ある場所に市庁舎を建て直す北田町案の2案を提示しました。
結果、南二日町広場案に賛成する市民が61.3%、北田町案に賛成する市民は38.3%と、南二日町への移転を支持する市民が6割以上を占めたんです。

「移転」の方がコストも安い
秋山恭亮議員(賛成派)
Q賛成の理由
A.「南二日町に青々と更地のところで建てた方が間違いなくコストは安く済みますし、工事もそちらで建てれば3年。ただ、今のところで建て替えると、最低でも6年かかるという試算が出ております。時間がかかるということは、物価が上がっていく、どんどん工事費も上がっていくという点を鑑みた時に、3年という短い期間でしっかりと建設ができる南二日町の方がメリットが多いと考えました」
市が見積もった概算事業費は、南二日町広場案が約105億8千万円。北田町案が約117億円と、南二日町広場案の方が、およそ10億円安くなっています。しかし、10日に開かれた議会では、南二日町に市庁舎を移転する条例案を、市議会は否決。市民アンケートで示された民意とは、異なる結果となったんです。

移転反対派議員は
伊地アナ「広いですよね、サッカーコート3面くらい取れますか?」
石井真人議員(反対派)「そうですね、それくらいは取れるくらいの広さがありますので、十分、庁舎を建てていくには、広いスペースがある」

大規模豪雨で1.4m浸水
番組では、条例案に反対した石井真人議員に、その理由を聞きました。
石井議員(反対派)「まずですね、向こうの方に川があるんですけども」
伊地「川?」
伊地「この川…」
石井議員「これは大場川(だいばがわ)という一級河川なんですけど、川の水で、ここが浸水した時に、職員とか市民の命が守れるのかと。拠点となる場所が、実はハザードマップの中にある事自体が、本当に防災拠点として機能するのか? ということも含めて、考えなくてはいけない」
こちらは、増水した時の大場川の様子を映した映像です。石井議員が南二日町広場への市庁舎移転に反対する大きな理由の1つが、1000年に1度規模の豪雨があった場合、南二日町広場はハザードマップ上で、およそ1.4m浸水することが想定されている点。そして、石井議員が懸念する点は他にも…。

渋滞の悪化
石井議員(反対派)「通常、ここの道を右折して、あそこにまた信号機があるんですよ、で、国道1号線に出ますので。そうすると、今、右折してますよね、あそこにも列ができると、ここでまた渋滞」
石井議員がさらにあげたのは、市庁舎ができることによる、渋滞のさらなる悪化。およそ106億円と試算されている事業費の中には、渋滞対策としての道路整備費は計上されていません。それに加え、石井議員は今の市庁舎周辺市街地の空洞化も懸念されると主張します。
石井真人議員「懸念材料というのは、こちらも出してますので、市民からも要望書として頂いてるので、そこをまずきちんと、向き合って足りない部分があったので、3分の2以上の賛成が得られていないので、そこを踏まえて、次の上程をしていただきたい」

市役所近くの商店街では
伊地アナ「この通り、三島市役所に程近い、三島大通り商店街といいます。市役所の移転・建て替え問題について、お店を営む方々は、どのように考えているのでしょうか?」
リヴよしだや 原麻理子さん「こんな感じで、今ですと暑いので、日焼け予防のアームカーバーとか、アロマの石鹸、ハーブティーとか、カワイイ小物を売ってます。」
現在、化粧品や雑貨を取り扱うこちらのお店は、およそ180年前の天保14年、1843年に薬屋として創業。以来、この地で営業を続けてきました。

吉田屋 原晴之代表取締役
Qいつ頃使っていたもの
原さん「明治のほんと初期だと思いますけど…」
原さん「神薬という薬を、資生堂が作っている薬をですね、東京室町本舗資生堂、資生堂って化粧品、今、うちも扱ってますけど、元々は薬屋さんで。その時、原薬館ってうち薬店がそこと契約して、神薬っていう薬を販売したという」
市庁舎の移転・建て替え問題について原さんは…
原晴之さん「私は今の場所に建て替えというのを希望しております。街のインフラという言葉があるんですけど、市役所、警察署、郵便局、銀行。そういうものが無くなっていくのが、街を壊してるんですけど、今の市長さんはそういう頭が無いんですよね。三島の街はどうなるんですか?」

市長は
三島市 豊岡武士市長「三島市が22世紀に向かって飛躍的な発展をとげるチャンスをなくしてしまった。私は断念しておりませんし、市の職員も全く断念していないと思います」
否決された条例案の再提出に意欲を見せる豊岡市長。こうした一連の動きに対し、三島市民はどう考えているのでしょうか?

市民は…
三島市民「なかなかそれは難しい問題で、各議員さんの思惑があるだろうから」
三島市民40代「南二日町の方が駅にも近いし、お年寄りとか、子どもを連れたお母さんとかは、使いやすいのかなとは思います」
Q条例案が否決されたことについて
A.「市民の意向が、反映されてないのかなとは思いますけどね」
三島市民50代:「郊外の住宅街に住んでいるので、駐車場狭かったり、道路混んだりしてるので、南二日町の方がいいかなという気持ち。しっかり決めて頂きたいですね、お金かかるものですから」
三島市民70代:「移転は反対。いや、今の庁舎は建て替えないと怖いから。ここに集約するのではなくて、支所を作ってもいいのでは」
三島市民「市民アンケートを見てもらうとね、1年に1度とか、ほぼみんな行かないのよ。それなのに、市役所を100億以上かけて、ひとつにまとめて作るっていうことが、ここを議論しないのが、おかしい。市役所は、賃貸でいいんじゃないかと思うんですよ」
三島市民50代:「どっちでもいいんですけどね、便利だったら。早く決まったら嬉しい」
三島市庁舎の移転・建て替え問題。その結末はいったいどんなものになるのでしょうか?
