備蓄米販売で課題に…「精米」は5工程 米店社長「備蓄米の方が精米しにくい」 静岡・裾野市
能地優アナウンサー(裾野市):「備蓄米の販売が進む中、課題となっているのが精米です。いったいどのような工程で行われているのか、精米所を取材しました」

精米の工程は5段階
裾野市の「松井米店」。店の隣に精米工場を持ち、そこで精米の委託業も行っています。実際の精米工程を見せてもらいました。
精米には、大きく分けて5つの工程(精米→石抜き→斑点米を除去→未熟米除去→計量・袋詰め)があります。作業は、義務付けられた衛生管理の方法で進められます。
松井米店 松井武社長:「お米を摩擦熱でぬかを取るという、精白米、白米にする作業がここで出来ます」
まず、投入された玄米は機械の摩擦熱で、白米へと精米されます。摩擦の強さは、コメの特徴に応じて調整が必要です。

備蓄米は弱い摩擦で精米
こちらでは、7月上旬に随意契約による古古古米を入荷予定。乾燥傾向とされる備蓄米は、弱い摩擦で精米するそうです。
松井米店 松井武社長:「備蓄米の場合はもっと(摩擦熱を)下げないと、折れちゃう。砕け米が増えちゃう。折れちゃうと、炊いたときに味が逃げちゃうのでおいしくない」
一方で、表面の劣化を落とすためには一定程度の強さが求められ、そのバランスが難しいといいます。
松井米店 松井武社長:「備蓄米の方がとても精米しづらい。歩留まり(精米後に残るコメ)が悪いので、販売できる量が減ってしまう」
白米にしたあとには、まぎれてしまった石を除去。その後、カメムシに食べられてしまった「斑点米(はんてんまい)」や「未熟米(みじゅくまい)」と言われる生育不足のコメを取り除いて、袋詰めへと至ります。

コンビニ社長「ひっ迫」
この精米をめぐり、小泉大臣と面会したコンビニ大手の社長からはこんな指摘が…。
セブン-イレブン 阿久津知洋社長:「精米所の皆さんにも精一杯努力をしていただいているんですが、やはりひっ迫しているのが現状。この課題が解決できれば、より迅速に供給が可能になるのではないかと考えております」
1日4時間3トン精米
今回取材した松井米店の場合、精米ラインを1日8時間稼働させるとおよそ6トンが精米可能で、現在は1日4時間程度、3トンを精米しています。
松井米店 松井武社長:「精米余力はあります。逆に空いてます。ひっ迫の逆です。機械は空いてます」
コメ不足によって、そもそも精米する玄米がないといい、備蓄米の精米依頼も受けられる余力のある状況です。
松井米店 松井武社長:「うちは零細になるので、中小とは取り扱っているところや仕入れ先が違うのかもしれない」
Q.同じ精米所でも精米所によって偏りが生じているということ?
A.「そうだと思う。その偏りはあると思う」

小泉大臣の「精米の余力調査」には「感謝」
小泉大臣の「精米の余力を調査する」という発言について尋ねると…。
松井米店 松井武社長:「そこは感謝させてもらいます。良いところに目をつけてくれた。(精米の余力に)偏りが出ている。そこに目をつけてくれたことは良いことだと思うので、ぜひ吸い上げて、(精米を)散らして日本中の皆さんの口に入るお米を一緒に作っていかないといけないと思っている」
一方で、小さな“町の精米所”でも備蓄米の精米を担っていくとすれば、最低購入量“10トンの壁”が課題になると話します。
松井米店 松井武社長:「今回の備蓄米を見ても、10トンならいい(という制限がある。)。いやいや10トンなんていらないよ、そもそもうちは10トン車が入らないというお米屋さんはたくさんあると思う。だから、実際精米する場所にどういう形で届けるかを考えていただければと思う」
