【詳報】創業136年「東海軒」を天神屋が買収へ…店名や従業員の雇用は維持 天神屋社長「東海軒のお弁当で育った人も多い。思い出をつないでいく」

 静岡駅から、旅行や出張へ、そのお供に買い求めるのが、駅弁です。

静岡市 76歳女性:「お弁当はここ以外買ったことがないからね。大ファンです」

静岡市 35歳男性:「駅弁と言ったらここ。幕の内2人分買いました。静岡駅に寄ったら必ず買って帰る。今月に入って3回は買いに来てる」

東海軒の売店
東海軒の売店

 地元で愛され続ける駅弁を販売しているのが、創業136年の老舗、「東海軒」です。1889年(明治22年)に創業。明治22年、米店として開業したのちに、駅弁事業をスタート。初代の駅弁は「握り飯とたくあん」というシンプルな中身だったそうです。

【詳報】創業136年「東海軒」を天神屋が買収へ…店名や従業員の雇用は維持 天神屋社長「東海軒のお弁当で育った人も多い。思い出をつないでいく」

 大正時代に入り鉄道旅がブームとなると、駅弁需要は急上昇。そんな中で、人気に火が付いたのが明治30年に販売を始め、いまなお看板メニューの『鯛めし』です。駿河湾でとれた真鯛を甘辛く煮詰め、そぼろにして敷き詰めてあります。

静岡市 71歳女性:「静岡にずっと71年いるから、50年くらいは買っている。1週間に1回は買っている。ご飯はとてつもなくうまい、ここのご飯に勝るものはない」

【詳報】創業136年「東海軒」を天神屋が買収へ…店名や従業員の雇用は維持 天神屋社長「東海軒のお弁当で育った人も多い。思い出をつないでいく」

「東海軒」コロナ禍をきっかけに経営不振に

 しかし、コロナ禍をきっかけに経営不振に陥ります。駅の利用客が激減し、売り上げも大きく落ち込みました。

東海軒金谷事業部 中島正晴部長:「コロナ禍から非常に業績が下降して、コロナが明けて少しずつ回復はしてきたが、やはり2019年以前の水準にはどうしても戻らないのと、近年の食材の高騰、特にお米がかなり価格も上がって、弁当の占める半分はご飯ですから、かなり影響を受けた」

【詳報】創業136年「東海軒」を天神屋が買収へ…店名や従業員の雇用は維持 天神屋社長「東海軒のお弁当で育った人も多い。思い出をつないでいく」

 こうした中、県内で弁当や総菜の販売を手がける「天神屋」が「東海軒」の買収に向けて、協議を進めていることが分かりました。「東海軒」の店名や、従業員の雇用を維持して事業承継する意向です。

天神屋 有田一喜社長:「130年を超える歴史のある東海軒が事業としてきちんと残る。そしてなにより従業員の方々の声を引き継ぐというところが非常に重要。天神屋も歴史や人々の思い出の中で生きさせていただいているところがあって、歴史を潰してしまうのは惜しいと思う、静岡にいる方々には東海軒のお弁当があって、あのお弁当で育った方がいっぱいいらっしゃると思う。そういった方々の思い出や未来の思い出をつないでいきたい」

【詳報】創業136年「東海軒」を天神屋が買収へ…店名や従業員の雇用は維持 天神屋社長「東海軒のお弁当で育った人も多い。思い出をつないでいく」

 買収に向けた協議は、年明けにも正式合意する見通しです。

東海軒金谷事業部 中島正晴部長:「静岡県でずっと販売させていただいて、かなり県内の皆さん、県外からも観光であるとかビジネスのお客さんもご利用いただいている中で、非常に誇りに思っているお弁当であり、東海軒という名前もみなさん広く知れ渡っている。それをどうしても残したいという社長の強い意志があったので、天神屋に救いの手を差し伸べていただいて、何とか静岡を代表する東海軒の名前を残したいという非常に温かい助けをいただきまして、今回天神屋と一緒に再建を図っていく形を選択した。天神屋と東海軒で、両者でより発展していける事業をやっていきたい。私どももなんとか今の状況から上昇していきたい」

【詳報】創業136年「東海軒」を天神屋が買収へ…店名や従業員の雇用は維持 天神屋社長「東海軒のお弁当で育った人も多い。思い出をつないでいく」
  • 駿河湾フェリー
  • 静岡クリスマスマーケット2025