伊豆縦貫道に残る2つの有料道路がいつまでたっても無料にならないワケ ETCはなぜ使えない?

静岡県道路公社は伊豆縦貫道に接続する2つの道路について、2027年3月にETCを導入すると発表しました。今、有料道路などでETCが使えるのは当然という印象ですが、この2つの道路について、ETCの導入が決まるまでには紆余曲折がありました。(取材・文=三浦徹)

東名高速や新東名高速を使い、伊豆縦貫道を通って伊豆半島に行ったことがある人は多いはず。でも途中に有料道路が2か所あり、ETCが使えないことに愕然とした経験はないでしょうか? (現在のキャッシュレスについては後述)

その2か所は静岡県道路公社が管理する「伊豆中央道」と「修善寺道路」。現金を用意することが必要で、利便性の面から伊豆半島を訪れる観光客には不評でした。静岡県道路公社はこの2つの道路について、2027年3月にETCを導入すると発表しました。

そもそもこの区間だけなぜ有料なのでしょうか?

●静岡県道路公社 小野田道路部長:
「道路建設には多額の費用が掛かりますが、有料道路にして、あとから料金収入で返すというやり方にすると、早く整備ができるという利点があります。以前、静岡県道路公社が管理していた、有料道路の『弁天大橋』や『熱函道路』は、現在は無料です。有料道路は建設時に国や県、民間の金融機関などから資金を借りて建設費にあてますが、建設資金を返し終わったので無料になっています」

伊豆中央道江間料金所
伊豆中央道江間料金所

「伊豆中央道」「修善寺道路」はまだ資金を返し終わっていないということでしょうか?

●静岡県道路公社 小野田道路部長:
「もともと2つの道路は、2023年10月で料金徴収期間が終わる予定でした。しかし、今後建設される『国道414号静浦バイパス』を新しく加え、2057年3月まで徴収期間が延びました。『静浦バイパス』は2つの道路に関連する道路で、関連する道路はプール制でまとめてお金を返すことができる旨が法律で決まっています」

沼津市から伊豆中央道の長岡北インターまで延伸する予定の静浦バイパス。現在一部が開通していますが、「伊豆中央道」「修善寺道路」とともに有料道路とすることで、2037年度の完成が見込めるようになりました。結果として無料化は34年延びたことになります。

有料期間の延長については2023年6月の県議会で議決されましたが、その際に「ETCの早期導入」が付帯決議として議決されました。つまり「有料期間の延長に伴い利便性向上のため、ETCを導入すること」でした。

昔、この道路を通ったたことがある人なら覚えているかもしれませんが、この有料道路の料金所は無人で、硬貨(200円)を箱に投げ入れると、バーが上がって通行できるシステムでした。

硬貨を用意しなければいけない上に、硬貨がうまく箱に入らないなど、特に初めて訪れる人はとまどうシステムになっていました。

●静岡県道路公社 小野田道路部長:
「以前は全て機械でやっていましたが、現在は料金所では職員が通行料を徴収しています。ただし、職員がいるのは午前6時から午後10時までで、それ以降は人がいません。夜間の人件費を考えたら、それ以外の時間帯は無料にせざるを得ないという判断でした」

一部が開通している「静浦バイパス」
一部が開通している「静浦バイパス」

料金所に職員がいる2つの道路ですが、その後2021年7月からキャッシュレス決済システムが導入されています。それが「ETCX」です。

あまり聞きなれないシステムですが、「ETCX」はETCカードと支払い用のクレジットカードの2枚を事前登録すると、料金をキャッシュレスで支払いすることができます。ただし、「ETCX」はシステム上の理由から、ETCのように料金所をノンストップで通過することはできず、必ず一旦停止しなければいけません。

普段、この道路を使っている人なら、事前に登録すれば済む話ですが、いきなり来た観光客にとってはハードルの高い話です。なぜ、ETCを導入しなかったのでしょうか?

●静岡県道路公社 小野田道路部長:
「『ETC』と『ETCX』ではかかる費用が10倍くらい違います。ETCXの導入を検討した時期は、徴収期間が延長する前でしたので、ETC導入には、非常にハードルが高かった。ETCは機器を導入すればすぐできると思われがちですが、実は違います。ETC機器の設置以外にも、ETCは車がノンストップで行くので、徴収員さんが安全に渡れる通路が必要になります。新東名は地下通路、東名は上空に歩道橋のようなものを作っています。これだけでも建設しようとすると費用は何億もかかります。それ以外にも設計や現地機器、現地施設、中央分離帯を延ばす工事なども必要です。ETCのサーバーを入れる建物を作ったり、電気の関係の工事、専用のレジも必要になります。ETCを1から導入しようとすると、数10億円がかかります」

「ETCX」の利用は事前登録が必要
「ETCX」の利用は事前登録が必要

料金所では導入に向けた工事が始まっています。2026年2月現在、中央分離帯を壊す工事やETCの監視機器を入れる事務所を老朽化のため建て替えを行っています。2月後半からは工事が本格化するということです。ちなみにETC導入の費用については、有料道路事業(伊豆中央道、修善寺道路、静浦バイパス)に含まれているということです。

これまで観光客に不評だった2つの料金所。ETCの導入により、伊豆半島の観光客のさらなる増加が期待されています。

ETCで伊豆半島の観光客の増加が期待(修善寺道路 大仁料金所)
ETCで伊豆半島の観光客の増加が期待(修善寺道路 大仁料金所)
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